奇々怪々 お知らせ

不思議体験

キミ・ナンヤネンさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

もしも財布を拾ったら
長編 2022/08/11 01:25 6,473view
2

「ど、どちら様で…?」

と俺が聞くと、ヒゲが

「申し遅れましてすいません。私共はこういう者です。」

そう言って俺にヒゲとメガネは名刺を渡してきた。

名刺には「〇〇社会動向研究所 研究室主任」という肩書とヒゲの名前があった。メガネの肩書は「研究員」だった。

(警察じゃないんだ…。良かった。)

「立ち話もなんですから、部屋に入れていただくか、近所の喫茶店にでも行きませんか。」

俺の部屋は散らかっているのと、時間には余裕があったから、喫茶店を選んだ。

何となく後ろめたい気持ちが大きかったから、何となく逆らえなかった。

来た道を戻るように3人で歩いて、さっきの自販機の前を通ったが財布はもう無かった。

メガネがその先のコイン駐車場に行って車を出すと

「どうぞお乗りください」

ヒゲに誘われるまま後ろの席に乗ると、隣にヒゲが乗り込んだ。

車が走り出して2~3分経ったが、近くに喫茶店なんてあったっけ?と思っていると

「申し訳ありません、これを付けていただいていいですか。」

ヒゲが目隠しを俺に渡した。

「すいません、喫茶店には行きません。ここからの道のりは秘密にしたいのです。」

「と言うと?」

「名刺にある研究所のいくつかある分所といいますか、とある事務所へ行ってもらいます。」

「どういう事ですか?」

ヒゲは俺の質問に答えないまま

「さあ、目隠しを。」

有無を言わせないようなヒゲの言い方で、俺は言われるまま目隠しをした。

車は左折右折を繰り返し、方向が分からないように進んでいた。

20分、いや30分くらい経った頃だろうか、車は止まった。

俺は目隠しをしたままヒゲに連れられて階段を上り、マンションか何かの部屋へと入った。

「それはもう外していいですよ。」

ヒゲが言う通り、目隠しを外した。

「ここへどうぞ。」

メガネが手招きをした先には、ごく普通のマンションの1室で、テーブルとソファが置いてあった。

2/4
コメント(2)
  • 最後草

    2022/10/06/10:20
  • 面白かった。

    2023/05/24/15:46

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。