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心霊

ちさとさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

メンテナンス中の部屋
長編 2022/07/26 17:17 3,723view
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その瞬間、お兄さんはギーーン!!という強い耳鳴りと共に、金縛りに襲われた。
身体が硬直して動かなくなった。
声を出そうとしても喉をヒューヒューと空気が抜けるだけだが、目は何とか開けられる。
脂汗をかきながら首をわずかに傾け、横目で窓の方を見た。
閉められたままだった広縁の障子に、月明かりに照らされた人の影が2人分、くっきりと浮かび上がっていた。
2人は向かい合うように広縁の椅子に腰掛け、ボソボソと何かを話している。
やはり何を言っているのかは聞き取れない。
囁くような、くぐもった声。
思わずゾッとしたお兄さんは、先輩に助けを求めようと反対側に首を傾けた。

先輩は間違いなくベッドにいて眠っていた。

しかし、様子がおかしい。
胸のあたりに黒いモヤのようなものが乗っているのだ。
それが蠢くたびに、先輩は苦しそうに呻いていた。
やっぱりこの部屋は曰く付きだったと後悔するも、とにかく金縛りを解かねばならない。
広縁の存在と先輩の胸の黒いモヤに気付かれないよう、ひたすら気配を消しながら頑張ったそうだ。
右にも左にもいる得体の知れない存在の注意を引いてはいけない、それだけは確信めいた直感があった。

外が白み始める頃、話し声は徐々に消え、影もモヤもいつの間にかいなくなり、ようやく金縛りも解けていった。
先輩の寝息も穏やかなものになった。
その後は部屋付きの風呂でシャワーを浴び、先輩を起こして体験した怪現象について話したそうだ。
先輩はすんなり話を信じた。

「やっぱり?夢見が悪くてさ、何かが胸の上に乗って苦しむ夢。寝た感じがしないんだよね」と。

メンテナンス中だなんて嘘を言って、とんでもない幽霊部屋だった。
2人で話してホテルに文句を言うことにしたそうだが、その前に先輩の提案でもう一度部屋を調べてみることにした。
お札があれば、ホテル側は「そういう」部屋だと知っていたことになるからだ。
昨日は確認しなかった洗面や、影が見えた広縁は特に重点的に探したが、どうにも見つからない。
諦めかけた頃、先輩がポツリと言った。
「なぁ、ベッドって探してないよな?」
まさかと思ったが、お兄さんが使っていたベッドから調べてみることにした。

ベッドの下やヘッドボードの裏は何もなかった。
「…マットレスも見てみる?」
2人でシーツを剥ぎ、マットレスをひっくり返してみたところ

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コメント(3)
  • 無理やり宿泊を頼んで最後はクレームとかそっちの方が怖い

    2022/07/27/08:49
  • ↑と同感

    2022/07/27/10:37
  • 随分と厚かましい客だな

    2022/07/29/14:04

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