知らない人が話しかけてくる

これで終わればまだ良かったです。仕事で疲れて記憶が混乱しているということで、なんとか済ませられたかもしれません。

しかし、その日から数週間後に友達から連絡があり、変なことを言われました。

数日前にその友達が〇△病院で私と会ったというのです。

明らかに私と友達はその病院で会話したらしいのですが、当然のようにそんな記憶ありません。

私じゃないと言いましたが、その友達は「しゃべったから」と言い張るのです。

友達は胃薬をもらいにその病院にいたらしく、偶然会った私に声をかけました。

しばらく話をしたけど「どうしたの？」と病院にいる理由を聞いても誤魔化されたらしく、心配になって再度電話してきたのです。

友達は私が病名を隠していて、何か重い病気を隠すために別人のふりで誤魔化していると疑っているみたいでした。しかし実際は全然違います。

私は本当に友達と会った記憶がないし、それ以前にその病院に行ったこともないのです。

電話が終わった後もすごく不気味な現象に、気持ち悪くなりました。

しかも調べてみたら以前話しかけてきた男の人が言っていた居酒屋とこの病院がとても近くにあるのです。

まるで私以外にもう一人私がいて別の生活を送っているようで、気味が悪くてたまりませんでした。

精神的に辛い仕事に加え、この出来事があったことで、私は徐々にストレスで体調を崩すようになりました。

我慢していたのですが、その日は吐き気が止まらず、どうにもならずに深夜に救急車を呼ぶことになりました。

そして偶然運ばれた先が例の友達が私と会ったというあの病院でした。

偶然そこに運ばれたと聞いたときは思いっきり背筋が凍り付きました。よりにもよって何でここと思いましたね。

私ははっきり原因は分からないけど、ストレス性の胃炎という診断をされました。ただし問題はそこではありません。

私はその日その病院に初めて行ったのに既に私のカルテがあり、医師や看護婦が私と面識があるというのです。はっきり言ってぞっとしました。

尋ねてみたけど、医師は「先週も会いました」と私に何でもないことのように言いました。

自分の頭がおかしくなったかと思いました。

運よく体調はすぐに良くなったので、私は逃げるようにその病院から退院。

それから別の病院で精神的な病気を調べてもらったけど、その心配はありませんでした。

あまりに気持ちが悪い出来事が次々に続いたので、私はしばらく仕事を休み、それをきっかけに仕事を辞める流れになりました。

今思えばあの気味の悪い出来事が転職するきっかけになったと思います。

数か月間身も心も休めて、心機一転新しい生活を始めた私は、また同じようなことが続くのではないかと恐れました。

ドッペルゲンガーのことを調べて、もしそれを見てしまったら死期が近づくと怖い話を見て、身の毛がよだちました。

けれど私の不安とは裏腹にそれまでの出来事が嘘のようにまったく何も起こらなくなり、次第に私は元の生活を取り戻していきました。

けれど今でも私のそっくりさんがいるらしいその近辺には近づいていません。

もし自分にそっくりな人を見てしまったら…と思うと怖いですからね。

そして例の病院や居酒屋には二度とか関わりたくないと思います。