己斐峠・タクシーの運転手

お地蔵さんが倒れたくらいでどうした。

そんな心持ちだったらしい。

タクシーの運転手はいつも決まった時間にコンビニにいるはずなのにここ数日現れないとうわさになった。

何なら町の中で噂になってしまっていた。

子供たちはお構いなしに山へもう一度行ってみた。

足元が見えない暗闇の中で例のあの場所までたどり着いた。

そう、タクシーの運転手の転げたところだ。

見事といっていいほどお地蔵さんはまだこけていた。

さすがにと思って何人かで起こしてあげて立たせてあげた。

そして礼を一つして帰そうとしてあたりを照らしていたところまだ夏の青い草が生い茂る草むらの中に肌色のような色が見えた。

よく目を凝らしてみたら、それは指だった。

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指までしか地表には出ておらずみるやいなや一目散に山を駆け下りた。

親にすべてを話した。

親が警察に連絡をして掘り起こしたところそれはタクシーの運転手だった。

明らかに埋まっていたので自殺ではないことは明白で恨みを買っていたなど詳しくは知らない。

しかしその日以降己斐峠の事故は減少の一途をたどっていったそうだ