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呪い・祟り

足が太いさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

ネカフェの隣室から聞こえる声
長編 2022/04/24 00:38 3,247view
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お願いします、と言い残して先に自分の個室に戻りました。

右隣の人は、相変わらずぶつぶつと呪文を唱え続けています。

「早く店員さんが来て注意してくれないかな…」と思っていると、今後はカーン、カーンという何か金属を叩きつけるような甲高い音まで聞こえてきたのです。
びっくりしていると、足音が聞こえ10番の個室の前で足音が止まり、ノック音の後に先程の店員さんの声で「失礼します。どなたか入っていらっしゃいますか?」と聞こえました。

店員さんの声がした途端、呪文も叩きつける音もピタッと止まったのです。

それから3~4回呼びかけても返事がないからか、店員さんは「開けますね、失礼します」と言って、鍵のかからない個室の扉を開ける音が聞こえました。
すると、突然「キャー!」という布を引き裂くような悲鳴がしたのです。

びっくりして個室から飛び出ると、10番の個室の扉を半分程開けた状態で店員さんが腰を抜かして床に座り込んでいました。
「大丈夫ですか?」と声をかけて、そっと10番の個室の中を覗くと、テーブルの上に何か得体の知れない物が乗っかっていたのです。

ソレは、大人の手の平くらいの大きさの藁人形で、胸の辺りには大きな釘が打ち付けられていました。
「藁人形?どうしてこんなところに…。それより10番に入っていた人は?」と不思議に思い、更に中を覗きこみましたが、そこには誰もいません。

店員さんと2人して茫然としていると、他の個室に入っていたお客さんもやってきて、10番の個室を覗きこんで「うわ!」「え!何あれ」と驚きの声を上げました。
騒いでいると、店員さんの悲鳴を聞きつけたのか他の店員さんや店長らしき人までやってきました。

10番の個室の異様な雰囲気にお店の人は青い顔をしていますし、私含め他の客達も早くこの場から立ち去りたいといった表情をしています。

取り急ぎ10番の個室は使用禁止になり、私は気分が悪くなったのもあってすぐお会計をして家に帰りました。

そんなことがあって1ヶ月後、あれから10番の個室はどうなったんだろうという好奇心もあって、久しぶりに件のネカフェへ行ったのです。

するとあの時、10番の個室で最初に藁人形を見た店員さんがいたので、こっそりと「10番の個室、どうなったんですか?」と聞いてみました。
店員さんは周りを見渡して他にお客さんがいないのを確認してから、「実は…」と後日談を教えてくれました。

その店員さんによると、あの日から「誰もいないはずの10番の個室から女の話し声が聞こえる」「いつの間にか10番の個室に藁人形が置かれている」といった怪現象が頻発したそうです。
監視カメラを見ても10番の個室に誰も入った様子がなく、そのうち10番の個室は全面使用禁止となったようでした。

その日は1時間程ネカフェにいたのですが、すぐに帰り、それ以降このネカフェに行くことがなくなりました。

10番の個室が怖くなったのもあったのですが、呪いをかけられていた店員の○○さんが、つい最近女性に刺されてバイトを辞めたというのを他の店員さんが話しているのを、聞いてしまったからです。

刺された○○さんがどうなったのか分かりませんが、恐らく、10番の個室の女性の呪いが、達成されてしまったのではないでしょうか。

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