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心霊

邪神 白猫さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

真夜中の訪問者
長編 2022/04/01 13:15 5,903view
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 こんな時でさえ妙に冷静な考えが頭を過ぎった私は、通話ボタンを閉じると携帯を握りしめた。
 

(お願い……っ。悪い夢なら、早く覚めて……)
 

 一人でこの状況に耐えるという選択をした私は、ベッドの中でカタカタと震えながらひたすらに祈った。
 その後、あの騒音が再び鳴り響くことはなかったが、その日は一睡もできずに夜を明かしたのだった。

※※※

「本当にありがとう、里美」

「気にしなくて大丈夫だって。澪の家からの方が通勤も楽だし。むしろ、助かっちゃうくらいだから。……それより、ちゃんと寝た方がいいよ?」

「うん……」

 あれから一週間。

 毎日決まって2時23分に鳴り響く音に悩まされ続け、夜も眠れぬ日々を過ごしていた私。
 そんな状況を見かねた同期の里美は、幽霊がいるだなんて戯言を信じてくれたばかりか、こうして心配して泊まりに来てくれたのだ。

 勿論、引っ越すことも考えてはいるが、今すぐにどうこうできる状況でもなかった。なにせ、連日の残業やら休日出勤やらで、物件を見に行く暇さえないのだ。

 実家に身を寄せることも考えたが、勤務先まで片道三時間もかかってしまうことを考えると、どうしてもその決断はできなかった。

「じゃあ……明日も早いし、もう寝よっか。……おやすみ」

「うん。……本当にありがとう。おやすみ」

 今一度お礼を告げると、里美はクスリと笑って瞼を閉じた。

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3/7
コメント(2)
  • 意外なオチで面白かったです

    2022/04/01/16:55
  • 泣けた

    2022/04/01/21:43

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