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足が太いさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

幽霊の訪れるコンビニ
長編 2022/03/17 23:40 3,021view
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コンビニでバイトしていた時の話しです。
私が勤めていたコンビニは、繁華街から少し離れた、少し落ち着いた雰囲気のところにありました。
目の前には大きな道路があって、周りには学校だったり住宅街があったりするので、コンビニに来るのは大体がトラック運転手かご近所の人達。
特別忙しくもなく、かといって暇でもないので、ぬるいバイトだなぁって思ってました。

でも、そのコンビニって、何故か人が続かないんですよね。
FC店なのですが、私がバイトに入った時は従業員が、オーナー夫婦のA子さんB男さんと男性バイトのC男さんしかいませんでした。
最初は「人件費をケチって、少ない人数でやりくりしてるのかな?」と、思ってたのですが…。

C男さんがこっそり教えてくれたところによると、「このコンビニは変な客が来る。そのせいでバイトが次々辞めていく」のだそうです。
どこのお店でも一定数、変なお客さんは来ると思いますが、このコンビニに来るのはそういうのではないのだとか。
C男さんが遭遇したのは「首がないバイク乗り」「血まみれの親子」「店内を彷徨う半透明の老人」などなど、明らかに生きてはいない人達です。

それを聞いて、このバイトを選んだのをちょっと後悔したのですが、オーナー夫婦からは「給料上げるから辞めないで!」と懇願されるし、C男さんも「夜勤でも誰か1人は必ず一緒に勤務するし、見えないフリしてれば何もしてこないから」と説得(?)されて、辞めるとは言えずバイトを続けることにしました。

そのコンビニ勤めて2週間経った頃、とうとう幽霊のお客さんと遭遇しました。
時刻は深夜3時、一緒に夜勤に入っているA子さんはバックヤードで仕事をしていて、レジ前には私1人です。

夜遅い時間ということから店内にはお客さんがおらず、レジ内で掃除や細々とした作業をしていたら、出入り口のセンサーが作動して、お客さんが来店したことを知らせる音が鳴りました。
なので、「いらっしゃいませー」と声をかけながら出入り口の方を見たのですが、誰もいません。
店内を見渡しても誰もいないので、初めは「センサーの誤作動か」と思っていたのです。

しかし、30分後にまた来店を告げる音が鳴り、店内を見ても誰もいない…そんなことが3回4回続きました。
ここまで頻繁に起こると、さすがにセンサーの誤作動ではないでしょう。
怖くなり、バックヤードにいるA子さんの元へ行くと、A子さんは作業をしながらこちらを見ず、「あ、いつものことだから気にしないでね」とだけ言うのです。
これがC男さんの言っていた怪奇現象か…と辟易しながら店内に戻り、その後は音が鳴ってもひたすら気づかないフリをしてやり過ごしました。

その後も夜勤に入る度に同じ怪奇現象が起きたのですが、人間慣れるもので、バイトを始めて半年経つ頃には「はいはい、いつものね」と思えるようになりました。
しかし、私の油断を見計らったかのように、ある時とんでもなく恐ろしい、身の毛もよだつ出事が起きたのです。

その日も、私がレジ前にいて、A子さんがバックヤードで仕事をしていました。
朝4時頃、私が品出しをしていると、ふと視線を感じました。

するとそこには30代くらいの赤ちゃんを抱っこした女性が立っていたのです。
「こんな深夜にどうしたのかな?ご近所の人かな」と思いながら出入り口の方へ振り返って「いらっしゃいませ」と声をかけると、赤ちゃん連れの女性は出入り口の扉から店内に入り、ゆっくりとした足取りで私の方へと歩いてきました。

そして、私の目の前まで来ると、「この子を助けてくれませんか」と、ぼそりと言ったのです。
「お子さんを、ですか?ええと、それなら病院へ行った方が…。あの、救急車を呼びましょうか?」と、言いながら女性の抱きかかえている赤ちゃんを見て、思わず叫びそうになりました。
女性が抱いている赤ちゃんは、蝋のように真っ白な顔をして瞼を閉じており、明らかに生きていないことが分かったからです。
よく見ると、女性の体も透けています。

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