元彼の策略

「私もはっきりいってHのことは好きじゃない」

「わがままだし、自分の思いを押し付けてくる」

「Aさんは彼のことが好きだから気付かないと思うけど、彼はかなりわがままなお子様だ、君が傷つかないか心配してるよ」

SNS友達の２人がHのことを低く評価しており、Aさんはさらに困惑してしまった。

恋愛感情があるために目が曇ってしまっているのか。

恋は盲目とはよくいったものだ。

ある日、Hが凄い剣幕でAさんに怒りのメッセを送ってきた。

内容は「僕の悪口言いやがって！」だった。

Aさんは心当たりなんてなかった。

Hの一方的な要求に困惑して相談しただけだったのだが、それを言ってるのだろうか？

詳しく話を聞いてみるとどうやら違うようだ。

SNS友達２人がHのメッセのアドレスを削除してしまったそうだ。

その原因をAさんにあると思い、Aさんに喧嘩を吹っかけてきたのだ。

Aさんはもちろん悪口なんて言ってないと主張した。

Hのことを相談したのは事実だが、悪く言った覚えはない。

どんなに説明しても「Aが友達に僕のこと悪く言ったから、２人から縁切られた」とブチ切れていたらしい。

AさんはSNS友達２人にメッセで何があったのか聞いてみた。

２人とも、元々Hとは縁を切りたかったらしい。

ちやほやされないと気が済まないHとメッセをやってると気が滅入るらしい。

なんで対等な人間なのに、彼のことをちやほやしてやらないといけないのか。

それが２人がHと縁を切った一番の理由だった。

Aさんが相談した一方的な要求「友達を紹介して欲しいけど、僕からは紹介できない」の内容は一切関係ないらしい。

そもそも、SNS友達２人にも同じように要求していたらしい。

「友達紹介して、だけど僕からは紹介できない」と。

フェアじゃないことで２人ともHのことが段々苦手になり、気付いたら嫌いになっていたそうだ。

Aさんは真実を知ったが、これをHに告げたところで喧嘩になるのは目に見えていた。

だからHには本当のことは言えなかったが、「悪口を言いふらした」という汚名返上が出来ないことが一番辛かったそうだ。

それから半年くらい経ち、Aさんは一方的にHさんから「別れたい」とメールされた。