病院で体験した少し怖い話

これは私が中学二年生の夏に体験した話です。

小さい頃からお世話になっていた人のお父さんが末期ガンで入院されたということを聞き家族でお見舞いに行きました。
そのお父さんが入院されているのが廊下の突き当たり、角部屋でした。

その頃は今のように面会制限もなく、夜九時頃まで面会ができていたので少しでも長くいたいと思い面会時間ギリギリまで病室にいました。
帰らなければならなくなった時間帯は夏とはいえ真っ暗です。

そんな中家族が何故か先に駐車場におりておく、と私一人を残して病室から出て行ってしまいました。
知り合いとはいえ病室に二人きりになってしまい、長い時間話していたせいもあり話すことも無くなり、なんだか気まづい雰囲気になってしまったなと思っていると、コツコツと廊下をヒールのような靴で歩く音が聞こえてきました。

小部屋でしたので廊下で歩く人の影というのはドアから見えます。
誰かギリギリでお見舞いに来たのかな？と思っていると影が右から左へ通り過ぎました。

その時少しだけ違和感を覚えました。

そして10分ほどして面会時間が終わり部屋を出て確信しました。
影が通り過ぎたのは道の無い方へだったのです。
道がないというのは非常口へ続く方へ影が通り抜けていきました。
見間違えかなと思い、入院しているお父さんにさっきさ…と言いかけた時見ちゃったか。と一言…

翌日あまりに気になってしまいお見舞いに行くとあれだけ元気に話していたお父さんが危篤となっていて話すこともままならない状態にまで病状が悪化していました。
あとから看護師さんに聞いた話ですがよくある事だそうで、ヒールのような音がして影が通り過ぎるのを見てしまうと近いうちに亡くなることがあるとか…

実際看護師さんも巡回中に部屋を出る際見てしまい、翌日その病室の患者さんが亡くなることがあったそうです…
偶然なのか、、それとも本当に何かが引き寄せていたのか…

そしてお父さんはなんでそれを分かっていたような口ぶりだったのか…今でも分かりません。