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不思議体験

緑のねずみさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

年越しの時に異世界に繋がった話
短編 2021/12/31 17:53 1,486view

 大学生になる俺は、その年はちょっと特殊なことをしてみたい気分だった。そこで、小学生の気分に戻って年越しの瞬間を迎えることにした。まず、ポ〇モンの古い時計をつけた。雑誌の懸賞で当てたもので、当時はどこにいくにもはめていたものだ。

 それから、できれば服装も当時を再現したかったが、流石にほとんど捨てているので、ランドセルを背負うことにした。まさに変質者だが、そんなことはどうでもいい。どうせ部屋から出ないんだから……と、そこで俺はふと小学生の時に、よく遊びに行っていた公園があることを思い出した。

 どうせならそこに行ってしまおうか、小学生気分を再現するし、夜だから誰も見てないだろうし……と、いろいろ考えた末に、公園に足を運ぶことにした。今年の年越しは今年っきりだ。悔いなくやりたかったのだ。

 その公園は自転車でも結構距離がある(小学生の頃、家族に車で連れて行ってもらっていたのだ)。俺は二十三時半前に外に出た。ランドセルが非常に窮屈である。

 極寒の中をひたすら自転車をこぐと、やがて思い出の公園についた。相変わらず無駄に広い。自然豊かでもある。もちろん誰もいない。度胸試し的な感じで誰かいるかもとも思ったが、そうではなかった。まあ、度胸試しにはもっと相応しい場所があるか。

 俺はふと小学生の頃を思い出し、当時毎日のように遊んでいた幼馴染に電話をした。違う高校に行ったせいで、接点はもう電話かラインくらいしかない。3コール目で友人(以下Aとする)が出た。

「おお、久しぶり。電話は二か月ぶりくらい?」

「そうだっけ。てか、あけおめ」

 俺が言うと、

「いや、まだはえーよ」

 とAは笑いながら返した。こういう、いわゆる阿吽の呼吸がとても心地よい。

 それから俺たちはどうでもいい会話をした。街灯の下に移動してポケモンの時計を見ると、もう年越しまであと少しだった。

「そろそろ年越しだな」

「あ、ほんとだ。お互い受験頑張ろうな」

「ま、よゆーだって」

「強がるなって」

「あ、あけおめ!」

 どんなタイミングだと思いながら、俺も「あけおめ!」と返した。真っ暗な静かな公園に、俺の声が空しく反響する。が、悪くない。悪くない年越しだった。

「またいつでも電話してな」

「おう」

「それじゃ」

 電話が切れた。それからしばらく、俺は公園のベンチで思いに耽っていた。するとラインが来た。Aからだった。

「あけおめ!時間ピッタリだろ?」

 謎のドヤ顔感。Aもよくわからないボケをするなあと思っていると、ふと現在の時刻が目に入る。ちょうど零時だった。あれ?

 俺は改めて、しっかりと時刻を確認する。が、確かに今、俺は年越しを迎えたらしい。どういうことだ?

「なあ。俺、さっきお前に電話したよな?」

「は?何言ってんだよ。よくわからんボケやな笑」

 どうやら、ポケモンの時計はちょっと遅れていたらしい。ま、古いやつだから仕方ないか……。

 じゃあ、俺がさっき話していたAは誰だったんだ?

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コメント(1)
  • 大学生になるってのは受験前ってことかな?
    普通は高三の年末年始だよね。
    ポケモンの時計がわからないのですが。
    ランドセル背負ってポケモン時計して公園で何してたんだろね?

    2022/01/01/10:59

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