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心霊

JMさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

背の高いあの子は誰?
短編 2021/12/09 21:21 1,792view

 あれは、私は高校生の時の出来事です。
私の通っていた高校は、なんの変哲もない地方の公立高校でした。
特に怖い噂があるわけでもなく、とりたてて近くにお墓や心霊スポットがあるようなわけでもない。
ごくごく普通の学校でした。
私自身、心霊現象やお化けの存在などを信じておらず、夕方暗くなるまで友人と学校の教室で雑談をしながら盛り上がるということをしても、帰りに怖いなどと感じることのない子でした。
そんな私の、不思議でちょっぴり怖い体験です。

 その日も私は友人と放課後のおしゃべりに夢中になっていました。
友人3人、私を含めて4人で話をするのはいつものことで、あたりは薄暗くなっていました。
それでも窓から入る外の明かりで、友人の表情は見て取れる程度。
「結構暗くなってきたね。そろそろ帰ろうか」
友人Yの言葉に私達は頷き、帰り支度を始めました。
長話をしたために少し喉が渇いていた私は、バックの中の水筒を取り出し、飲み物がすでにないことに気が付きました。
「ごめん、ちょっと待ってて。私、喉渇いたからジュース買ってくる」
そう言って、教室を出て、廊下の突き当りにある自動販売機へ向かいました。

薄暗くなったこの時間、学校に残っている生徒は私達だけのようで、静まり返っていました。
買ったジュースを片手に、教室に戻る為に誰もいない廊下を歩く。
ふと、トイレに目が行きました。
私の通っていた学校では、トイレのドアには高い位置に30㎠程の小窓が付いており、手洗い場の様子が見えるのです。
「?」
先ほど話していた友人Yが手洗い場の鏡をのぞき込んでいるのが見えました。
制服のリボンを正しているようです。
『いつの間にトイレに行ったのか』
そう思って通り過ぎ、教室へ戻ると、そこには友人2人とYちゃんがいました。
数秒前、トイレにいたはずのY、いつの間にトイレを出て、私よりも先に教室に戻ったのでしょうか。
「あれ?Yちゃん、いつのまに教室に戻ってたの?」
「は?」
友人3人は顔をしかめました。
「え?だって、さっきまでトイレで鏡見てたじゃん」

「え?Yちゃんずっと私達と話してたよ?」

私達は怖さ半分、好奇心半分でトイレに向かいました。
廊下に立ちトイレのドアについている小窓を見る。
友人Yともう一人の友人で鏡の前に立つ。
小柄なYを廊下から見ると、頭しか見えません。
背伸びしたって、制服の襟元のリボンまで見ることはできないのです。
試しに背の高い友人がトイレの中の鏡の前に立ったところで、顔が見えるだけで、襟元までは見えません。
襟元まで見るには、よほどトイレの中の人物が大きいか、何か台に乗っているか、あるいは…。
私達は怖くなり、トイレを飛び出し慌てて帰りました。
すっかり暗くなった校内、私たち以外の生徒がいることは考えにくいでしょう。
なにより、あれは友人Yだった。
最初は私を驚かすためのいたずらだったのではないかと思っていました。
しかし、友人たちの様子を見るからに、冗談やいたずらだとは考えられません。
友人たちはその日以降、そこのトイレを使わなくなり、遠くのトイレを使用するようになり、彼女たちが本気で怖がっているのが分かったから。

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