教科書を受け取ったお祖母さんは誰…？

中学生のときのこと。

数日後にテストを控えて、私は歴史の教科書をベッドに持ち込んで勉強していたら、そのまま寝落ちしてしまった。

目が覚めるといつも家を出る15分前。あわてて身支度をして家を飛び出した。

二時間目は歴史の授業だった。私はベッドに教科書を忘れていたのに気づき、隣のクラスのＡくんに教科書を借りた。

授業が終わって教科書を返しに行くと、Ａくんは体調が悪くなったとのことですでに早退していた。

私は直接Ａくんにお礼が言いたかったので、放課後Ａくんの家に向かった。

テストが数日後に控えているので届けることにしたのだ。

ピンポンを押したら、玄関にお祖母さんが出てきた。

「これ、Ａくんに借りてまして、テストも近いので返しにきました。」と渡した。

お祖母さんは、「ありがとうねえ。気を付けて帰ってね。」と言ってくれた。

家に帰って母親に、Ａくんに学校で教科書を借りて、さっきＡくんのお祖母さんに返しに行ったことを話したら、

「あんた、Ａくんのお祖母さんはもう亡くなられてるわよ」と言われた。

びっくりして、もしかして親戚の人かなあってことで落ち着いた。

翌日、Ａくんにお礼を言おうと思って隣のクラスに行って、「昨日、教科書を渡した人は親戚の人なの？」と聞いたら、

「そんな人来てないよ。もしかしたら死んじゃったお祖母ちゃんかも。時々お祖母ちゃんの気配がするんだ。近所の人にも、居るよって言われたことがある。」
って言っていた。

びっくりしたけど、素敵だなって思った。