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不思議体験

takalightさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

不思議なお爺さんの移動方法
短編 2021/09/21 15:07 1,043view

この話は今から30年近くも前の話です。当時はスマホはもちろん、携帯電話も一般的ではなかった時代です。
私はバスと電車を利用して通学をしていました。最寄り駅まではバスで20分近くかかりバス停までも歩いて10分以上かかる田舎町。

その日は学校帰りに友人宅で遊んでからの帰り道。
バスを降りてから家までは交通量は少ないですが車が通る道路で、私が歩く反対側にはお寺があり墓地があります。と言ってもそこで心霊的な噂を聞いたこともありません。墓地を過ぎてしばらく歩くき横道を入って1分くらいで私の家です。その横道の先は私が住む家を含め十数軒の家があり行き止まりなのでそこを行きする車は少ないのです。

いつも通り横道を入った途端人が居る事に気付きました。時間は夜の9時くらいだったと思います、その人は道の横のコンクリートの部分に腰をかけていました。不思議な事は着ている洋服です。それはパジャマでした。今でも覚えているのは水色っぽい生地に縦のストライプが入っているもの。見た感じお爺さんと思われる雰囲気でかなり細身でした。
私は「大丈夫ですか?」と声を掛けました。そのお爺さんは私の方を見るとニッコリを微笑んでまた下を向いてしまいました。その後すぐに家に帰り母親にその事を伝えると母親は外に出て一緒にその老人が居る場所に。ところがその老人はそこにはいませんでした。

私が声をかけてその場を去ってから母親とその場に戻るまで10分くらいはあったと思いますが、その間に移動してしまったのでしょう。母親は家に戻り警察に連絡、間もなく近くの交番の人が来てくれました。事情を話したところ周りを巡回して探してみるとの事でした。実はこの一連の出来事は私の地域ではよくある事なのです。

私の家がある一角は行き止まりで車が通れないのですが、人が歩く畑の脇道のような細い道が行き止まりの奥に向かって伸びています。そしてその先には老人ホームがあるのです。車でその老人ホームに行くには別のルートから行くしかないのですが、地元に住んでいてそこで働く職員の人はその畑の脇道を使って出勤していました。

今ほどセキュリティが発達していなかった時代です、徘徊してしまう老人、施設を抜け出してしまう老人がおり見かけると警察に連絡していました。

ただ、今回ちょっと違ったのはその老人が居なくなってしまった事。しかし徘徊癖のある老人であればよくある事でもあります。特に何も気にせず翌日になり学校から帰って来ると母親が私に言いました。「昨日の交番のお巡りさんから連絡あってね、お爺さん見つかったって。ちゃんと保護されて老人ホームに戻れたみたい」との事。

本来ならばそこで話が終るはずなのですが、母は「でもね・・・」と続けます。その老人ホームは家の奥にあるホームの入居者では無かったのです。同じ市内の老人ホームなのですが、ここから随分離れています。話によると夕食を食べた後そのお爺さんは姿を消して老人ホーム内を探したが見つからなかったので警察に連絡したとの事。深夜12時頃に老人ホームの近くを歩いているのを近所の住民が見かけて保護されたようです。

夕食の時間は18時頃、私がその老人を見かけたのは夜の21時頃。
距離は8㎞くらい。3時間くらいあるので歩けば移動可能です、元気な普通の人ならば。しかしそのお爺さんは見た感じ80を超えていました。足腰の筋力の低下からそんな距離をその時間で歩くのは無理があります。しかもその後自分の老人ホームの近くに戻っているのです。
そして何より不思議なのはもし18時に老人ホームを出たとしてパジャマで3時間近く歩いていたら誰かの目に留まるはずです。パジャマの老人がフラフラ歩いていたら多くの人の目に留まるはずです。

一体お爺さんはどうやって移動したのでしょうか。お金を持っていてタクシーに乗ろうとしたとしてもタクシーの運転手が気付くはずですし。
今でも不思議な出来事です。

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