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心霊

ちーちゃさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

鮮明に記憶に残る夏の思い出
短編 2021/09/04 12:23 939view

 当時小学4年生だった私。
 とある夏休みにPTA親子行事の一環でキャンプに参加した。参加者は子供15人と引率の親との約30人。みんなで協力してカレーライスを作った。キャンプで作るカレーライスって、なぜかやたらおいしく感じる。

 そうこうしてるうちにすっかり日も暮れて、時間は夜の9時ごろ。私ら子供たちは、それぞれ3人ずつに分かれて、設置された各テントに入った。
 普段、こんな夜に友達と一緒にいるなんてめったにないので、いつもとは違う高揚感の中、思い思いに楽しく話をしていた。

 ふとトイレに行きたくなって、私はテントのカバーを開けた。すると、5メートルくらい先の正面に白いもやのような女性のシルエットが立っていた。ロングのストレートヘアに、Aラインのスカートの裾がなびいていた。親子会の大人ではない。私は一瞬「ん?」と思い、中の女の子たちに「ねえ、なんか外に人が立ってるよ」と言い、女の子たちもすぐに「誰、誰?」と三人で外を見た。

 けれどその白いもやは消えて、ただの暗がりだけがしんと広がっていた。女の子たちに声をかけてから、すぐ外を見たから、その女性がその場を離れたとしても、そんな短い間なら立ち去る姿は見えるくらいの間だ。それに、白いもやが立っていた周囲は生い茂った木や雑草がひしめいてる場所。歩くときはガサガサと大きな音が鳴るぐらいな場所なのに、なんの音もなくその女性のシルエットが消えたことに、私たちは違和感を感じて顔を見合わせた。そう思ったらなんだか急に怖くなって、私たちはあわてて親たちのところに走って向かった。

 私たちのテントから少し離れた場所で親たちはかたまって雑談をしていたが、一心不乱に駆け寄ってきた私たちのその様子に「なになにどうしたの?」と怪訝な表情。正直に話したけど、「ただの気のせいよ」と、子供の勘違いといった感じで軽く受け取られて、相手にされなかった。あれがなんだったのか、結局わからないまま大人になったけど、今でも鮮明に記憶に残っている夏の思い出。

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