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妖怪・風習・伝奇

柾さんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

隠れキリシタンの塚
短編 2021/08/10 12:21 536view
私たちが住んでいるところには昔、各地に隠れキリシタンがおり、当時幕府から弾圧され、家族も迫害を受けたり、処刑されたという悲しい事件があったそうです。
この話は私がそう言った隠れキリシタンにまつわる怖い体験をしたお話です。

私が高校生のころです。
高校の行事で地元の山へ登山することが年に1回ありました。
この行事は高校からバスで山の麓まで送ってもらい、各自で山頂を目指し、登頂後は登ったルートとは違うルートで下山するイベントでした。

高校1年生の頃は先輩たちのあとをついていくことが伝統みたいな感じでしたが、高校2年生になった私は仲の良い友人グループだけで一緒に山を登ったのです。
登頂後、昼食を済ませ下山をしたのですが、グループの中の一人がトイレに行きたがって、下山ルートとは違う道沿いに公衆トイレがあるのを山中の掲示板で見つけ、しょうがなく違うルートで下山することになったのです。
当然、私も友人と一緒にその違うルートで下山することになったのです。

そしてトイレに行きたがっていた友人が公衆トイレでトイレを済ませ、下山していると、とある集落に入ったのです。
そこは昼間なのに車はもちろん、集落の方も歩いている姿はなく、建物も古い建物が並んでいた集落でした。

私は田舎だから人がいないのはしょうがないかと思いながら、友人と一緒に歩いていると、友人の一人が立ち止まり、前方を指さし「あそこに和服を着ている人がいる」と言ったのです。
私を含めほかの友人たちには、前方にそのような姿をした人は見当たらず、また、その時が午後3時ころであたりは明るく、友人が冗談を言っているんだと思った私たちは「なに変なことを言ってるんだ」と笑いながら先に進んだのです。

すると集落から少し離れたところに石塚があるのが見えました。
私たちは道なりに進み、その石塚の近くを通ろうとすると、どことなく空気が冷たくなったのに気づき、不審に感じて見渡すと、先ほど「和服を着た人を見た」と言っていた友人の顔が急に青ざめ、歯をカタカタならしながら歩いていたのです。

それを見た私たちは友人の急変ぶりに怖くなり、「どうした」と尋ねたところ、友人は「和服来た人が10人ぐらい、石塚から俺たちを見ている」「どう見ても幽霊にしか見えない」と小声で私たちに訴えかけたのです。
友人の言動があまりにも異常で、冗談を言っている風には見えなかったので、私たちは全員でその場を逃げるようにして走り出し、その集落を出ると目の前に元々の下山ルートと合流する地点が見えたのです。
私たちはグループ全員がいることを確認し、怖がっていた友人の顔色も戻っていたので、ひと安心して早く下山しようと言い、駆け足で下山しました。

下山して集合場所の道の駅で待機していた、日本史の先生だった担任の先生に私たちが体験した話をすると、先生は「お前たちが入った集落は、昔隠れキリシタンの家族が惨殺された集落だぞ」「今は普通に生活している人達もいるが、当時、隠れキリシタンの一家が幕府の弾圧で一家全員皆殺しされ、その集落の寺が惨殺された一家の為に石塚を建て霊を鎮めたという言い伝えがある」と聞きました。

それを聞いた私たちは一番怖がっていた友人が見たものと全く同じで、私たちも感じた冷気のようなものもそれだったのかと思い知らされた感じになりました。
この私たちが怖い体験した集落は今でも普通に生活するところにあり、過去にあった無残な事件が二度と起こらないような平和な世になるように、集落を守るようにという祈る場としてあるそうです。
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