ビビりは恥だが役に立つ

ネットの心霊スポット情報サイトで見つけ、この神社のなかなかに怖い噂や幽霊の目撃情報など、一応一通り目を通したが、俺たちにとって内容はどうでもよかった。

Mのビビった面白いリアクションさえ見れればよかったので、一時間くらいで行けて、怖そうな場所だったらどこでもよかったからだ。

俺たちはその神社へ行くことに決めた。

一時間経って、Mが来た。

Mは俺の車の後部座席に乗り込むと

「で、どこ行くん？」

と俺らに聞いた。

俺たちは口を揃えて

「こっから一時間くらいんとこで、星がめっちゃ綺麗に見える公園見つけたから、そこ行ってみよってことんなったわ！」

と計画通りの嘘をつき、Mを乗せて本当の目的地へと車を走らせた。

もちろんMは俺らの嘘に気づくことなく、道中いつも通り他愛もない話をしながら現地へと向かっていった…。

出発して一時間ばかり時間が経ち、ついに目的地付近に到着した。

目的地の『S神社』には駐車場がなかったため、車は神社から一番近いコンビニの駐車場に駐めた。

神社はコンビニから徒歩10分ほど離れた場所にあったので、そこから歩いて神社へと向かった。

コンビニを出て、最初の方は普通の住宅街といった感じだった。

やがて、目的の神社が近づいてくると住宅街を抜け、急に鬱蒼とした森が現れた。

先程までと一気に空気が変わり、なんだか不気味な雰囲気が漂い始めた。

ここで異変に気づいたMが

「え、ほんとにこんなとこに公園あんの？？なんか怖くね…？お前ら、まさか心霊スポットとか行こうとしてないよね？！」

と鋭いツッコミを入れてきた。

だが、もうすぐ到着するので俺たちは

「いやいや！暗いとこじゃねーと星見えねーから！」

「そーいう場所じゃねーからw 心配すんなって！」

と、強引に嘘を突き通した。

そして、ついに神社の入り口に到着した。

「おい、お前らマジでふざけんなよ！」