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ネージュさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

「西新井トンネル」はガチの心霊スポット
長編 2023/02/21 11:47 3,227view

昨年末、私が実際に西新井トンネルを通った時の話です。
私は現在足立区に住んでいるので、この西新井トンネルでは心霊現象が起きるという噂話を知っていました。

どのような現象が起きるのかというと、深夜にトンネルの中を老婆の霊が歩いているという話や、付近のカーブミラーに母子の霊が映り込むといった内容です。
よく聞く心霊スポットで起きるような話なので、昔からあまり信じてはいませんでした。

しかし、なんとなく避ける気持ちがあって普段は地下トンネルを利用することはなく、少しは離れた交差点まで歩いて西新井駅に向かっていました。
心霊現象の真意は分かりませんが、実際に地元に住んでいる方はこの地下道を避けています。

その日、私は夜勤だったため、夕方5時過ぎの薄暗い時間帯に家を出ました。
昼間の予定が長引き少し遅刻気味だったために、躊躇したのですが普段は利用しない西新井トンネルを通ることにしたのです。
この地下道を通ることでかなりのショートカットになるため、やむを得ない状況でした。

地下道の階段を下りるのはかなり久しぶりでした。

小学生の頃以来でしょうか…、オカルト話をあまり信じていなかったので、昔は地下道をよく利用していたのです。

しかし周りの友人が面白おかしく心霊現象を盛り上げ、その風潮に合わせないといけない雰囲気だったので、次第に利用しないようになりました。
地下道を通っているところを目撃されると、翌日“バイキン扱い”されたりするのです。

子供…いや人間というものは、本当は幽霊なんかよりよっぽど恐ろしい存在なのです。
そのまま数十年、西新井トンネルからは足が遠のいていました。

その時は急いでいたのと、夕方の黄昏時でやはり少し気味が悪かったのでなるべく周囲を見ないように、地下道の中を足早に通りました。
地下道の長さはだいたい150メートルくらいだったでしょうか。

地下道の中は整備されていてとてもキレイで、心霊スポットにありがちの、おどろおどろしい落書きもありません。
意外にも明るい印象で、まったく気持ち悪い雰囲気が無かったために、最後の方では怪奇現象の噂や子供の頃の嫌な記憶などすっかり忘れていました。

「今度からは地下道を利用しよう。ショートカットで早いし便利だし、今まで通らなかったのがもったいなかったな。」

そんな気持ちで、地下道出口の階段を上りました。

怖い気持ちなどすっかり忘れて、薄暗い地上に一歩足を踏み出しかけた時です。
後ろから、か細い猫の鳴き声のような、赤ちゃんがぐずるような、わずかな高い声が聞こえた気がしました。

もう地上に出かかっていて割と人通りがあった安心感のせいか、私は何の躊躇もなく後ろをふり返りました。
すると、階段の一番下のあたりに一人の女の人が立っていたのです。

あまりよく見えなかったのですが、20~30代くらいで普通に現代風のスカート姿の若い女性でした。
ただ、何となく全体的に陰になっているような暗いトーンに見えたのを覚えています。
パッと見て普通の女性だったので、地上の騒音を聞き間違えたのだろう思い、そのまま気にせず駅に向かいました。

電車に乗り、遅刻気味で焦る気持ちもだいぶ落ち着いてきたころ、ふと先ほどの光景がよみがえりました。

「あれ?スカートが見えたってことは…冬場なのにコートを着ていなかった気がする」
「あの地下道はほとんど誰も利用しないし、確かにあの時は、私以外は誰も通っていなくて、人の足音も無かった」
「女の人が一人で立っていたけど、猫の鳴き声のような、赤ん坊の鳴き声のような高い声は何だったの?」

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