ストーカーはストーカーの自覚が無い

これは、私の高校時代の話です。

私は卓球部に所属していたのですが、2つ年下の後輩の女子から相談を受けていました。彼女の名前は美月です。
美月の相談内容は、自宅周辺でやたらと同級生の隆がうろついているのを見るという話でした。隆は同じく卓球部の2つ年下の後輩なのですが、私は「隆も近くに住んでるんじゃないの？」と美月に聞きました。
しかし隆の家は、美月の家の方面とは全然違う場所にあるそうです。とはいえ、美月の話を聞いただけで隆をストーカー扱いする事も出来ないので、隆が美月の事をどう思っているのか等をさり気なく聞こうと考えました。

「美月ちゃん可愛いよな」と隆に言うと、隆は「僕もそう思います」と返して来ました。隆は、まず美月の事を嫌いではないことに間違いなさそうでした。その後、数日かけて隆の事を知っていきました。
最終的に、隆は美月に好意を寄せていそうだという事になりました。私が隆を知っていく間も、美月は自宅周辺をうろちょろする隆を目撃していたようです。

そこで私は、美月に了承を得て、私も美月の自宅周辺を休日に歩いてみる事にしました。すると、早速隆と遭遇しました。隆は私に気が付き、ばったり会った感じを出していました。
私は隆に「何してるの？」と聞くと、隆は「あっちの方に美月の家があるんですよ」と何食わぬ顔で言いました。どうやら隆は、自分のしている事に悪いという自覚が無いようでした。さらに隆は「美月と会えるかもしれませんよ」と言いました。完全にストーカー行為です。

私は、隆に「それストーカーやんけ」とツッコミ気味に言いました。なんとも言えない雰囲気になりましたが、隆は「用事あるんで」と言いながらその場を立ち去りました。