その子供が指を差すと終わる
投稿者:二十左衛門 (3)
そして、僕を心配する母に向けて指を差すのでした。
次の瞬間、僕は意識が飛びました。
目が覚めると自室のベッドに寝かされていて、高熱に魘されていたと母に聞かされました。
ただ、母が何かゼリーとか喉を通りやすいものを買ってくると言った瞬間、僕は子供の事を思い出して熱があるにも関わらず飛び起きて母にしがみつき「行っちゃだめっ」と必死に頼み込みました。
母は困ったように「えー、でも夜ご飯の買い出しもあるし」と眉根を下げていましたが、僕は何としても今日だけは家から出ないでほしいと土下座する勢いで頼んだのです。
母は「じゃあ、有り合わせのものになるけど、いい?」と呆れたように言っていましたが、僕は母が外出しなければ何でもよかったのでふらふらする頭のまま頷き再び熱に魘されるように倒れてしまいました。
その晩、父が帰宅すると開口一番「変わりなかったか?」と僕達、と言うか母に訊ねていました。
母がどうかしたのか聞き返せば、何でも近所でひったくりがあったらしく鞄を掠め取られた女性が運悪く転倒した際に後頭部を強打して救急車で搬送されたと、今しがた近所のママさん達が話しているのを聞いたそうです。
それも事件が起きた時間帯は母がいつも買い出しに出かける時間帯でした。
それを聞いた母は今日は僕にお願いされて外出させてもらえなかったと父に話し、父も「おまえもまだまだ甘えん坊だな」と笑いながら僕の頭を撫でていましたが、二人とも「こんなこともあるんだな」とポツリと零していました。
とにかく母が無事でよかったと安堵していると、両親が談笑している背後で再びあの子供が姿を現して僕の事を恨めしそうに睨んでいる事に気付きました。
しかし、今度は僕も負けじと子供を睨み返してやると、子供は何をするでもなくスーッとその場から消えていきました。
それ以来、僕の家族の許にはその子供が現れる事はありませんでしたが、街中ではしょっちゅうその子供が指を差している光景を見かけています。
あの子供が不幸を知らせる死神のような存在なのか、はたまた、あの子供が指を差すから不幸が降りかかるのかは分かりません。
ただ、僕は僕の親しい人の許にあの子供が現れないように願うばかりです。
めっちゃ怖かったんだけど?
北斗の拳のセリフじゃないが「お前は既に死んでいる(又は死ぬ!)!」みたいだな。
死神の子供版?
ためはち
これは実際見えたら怖いな…
怖いだけじゃなく、語り手の主人公が何とか立ち向かおうとするのがいいね。それで痛い目にもあって、それでも最悪の事態を回避するために必死で抗って…手に汗握る感じで楽しめました。
タイトルから想像する通りの話しでした。