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ヒトコワ

スカイツリーさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

担当患者の日記
短編 2022/12/05 10:29 3,224view
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私の友人Y(以降Y)から聞いた話です。
Yが看護師として勤めている病院であったこと
その病院は地元でも難病や末期がんなどもう余命が無い方が多く入院している病院で、
Yのチームの受け持ち患者だった末期がんの70代の女性が急変し、亡くなった。
性格は温厚で、優しく、同室の方たちにも気を使える感じの良い人だった。

家族が居なく身寄りのない方で、Yが私物の整理をしていると、一冊のメモ帳が出てきた。
なんの気なしにパラパラめくると、日々の出来事や、病食の献立、見たいテレビ番組等、他愛のないものだった。

「きょうは看護師の××(Yの名前)さんと散歩に出かけた。相変わらずやさしい人。私の話もよく聞いてくれて、心が晴れた。噴水もきれいだった。」
等と言う記述があり、Yは少しほろりと来たとか。

しかし、亡くなる前日の内容を見て、Yは戦慄した。。
それまで黒のボールペン一色だったメモ帳が、そのページだけ赤色が使われている。
字体は汚く、字の大きさもまるでバラバラだ。

「××(Yのフルネーム)は以前から私の事をきらっていたようだが、最近は露骨になってきた。
注射はわざと痛くするし、体を拭くのも雑で乱暴だ。もう我慢できない。
薬の中身も先生にばれないようにこっそり変えている。
私にはわかる。いつも薄笑いで馬鹿にしている。許さない
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
想像の中で何度も練習した。きっと成功する。明日やる。血を取りにきたとき、

首を刺してそのまま横に裂く。これを書いているだけで心が晴れる。今夜は眠れそうにない。」

Yは同室にいる同僚や患者に動揺を隠すのが精いっぱいであまりの出来事にその後の数分間記憶は無いとか。
メモはすぐにゴミ箱に捨てた。

しかし、ベッド交換を行った同僚がベッドと壁の隙間の死角からカッターを見つけた。
特に誰も気にはとめなかった。Y以外は。

Yはかなりのショックを受け、本気で退職を考えたが、思い留まった。
少なくともこの部屋には二度と立ち入りたくない、と体調不良を理由に転科を申出て、病棟業務から外れた。

Yは当たり前だが、体を拭くのも丁寧で、薬を変えたことも一度もないし、むしろ自分には心を開いてくれているように思っていた。
恨まれる心当たりはまるでない。

ガン末期で幻覚が見えていたのか、なぜあのような日記を書いたのかもう知る由もない。。

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コメント(5)
  • 大変なご職業ですね。頭が上がりません。

    2022/12/05/21:19
  • 何故恨まれたか分かりせん。薬の副作用によるものと信じたい。

    2022/12/05/21:40
  • げんきしてる

    2022/12/11/13:18
  • ダイスケ

    2022/12/13/11:13
  • だって、Y氏は人間の姿をした悪魔だから。

    2023/05/25/22:41

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