メイク教室で出会った女性に気に入られてしまった？話

これは３年前のできごとです。
私は都内のあるメイク教室に通うことにしました。
初めて会場に行ったときに、先に長い黒髪の女性が来ていました。

なんだか暗い印象で、この人と二人きりだと気まずいなと思っていました。
しかししばらくすると他の参加者が続々と集まってきて、最終的には10人くらいになりました。
私が通うことにしたメイク教室はグループレッスン制だったので、10人で授業を受けることになったのです。
生徒が全員揃ったら、先生がみんなの前にある教壇に登壇し授業が始まりました。

先生は綺麗なショートボブの華やかな顔立ちの女性でした。メイクをしっかりしているからこそ華やかに
見えたのかもしれません。授業が始まると、最初にメイクについて講義を受けることになりました。
その後、実際に生徒がそれぞれの席でメイクをすることになりました。

先ほどの長い黒髪の女性が先生にピッタリくっついてメイク方法についてたくさん質問している
姿を見かけました。この女性は講義がはじまった最初の方の自己紹介で、Bさんという名前で
あることがわかりました。

Bさんはおとなしそうな雰囲気で声も小さかったのですが、積極的に先生に質問する姿に
ギャップを感じ不思議と印象に残りました。

メイクの講義と実演が終わり帰宅する時間がやってきました。帰り際にBさんがこちらを見ているような
気がしたのですが、気のせいだと思いそのまま帰りました。

その後も数回メイク教室に通ったのですが、仕事が忙しくなってきたので通うのを一旦やめることにしました。
一旦行かなくなると、通うのが億劫になるものです。そうしてメイク教室に通うのをやめてしまいました。

最後にメイク教室に行ってから一年が経ちました。

私はなぜか、いつもは行かない京王線のとある駅（都内）に行きたくなりました。そうして実際に行ってみました。
なんとなく一人でショッピングをしたりお昼ご飯を食べたりしました。そうして満足したので帰ることにしたのです。

駅に向かう途中で後ろから「Aさん、久しぶりー!!!!」と突然声をかけられました
私はびっくりして振り返りました。後ろにはメイク教室で一緒になったBさんが立っていました。
ショートボブに華やかなメイクをしたその姿は、メイク教室の先生そっくりになっていました。
私はなんだか怖くなりました。

「Aさんに会いたいとずっと念を送っていたんだ〜！会えて本当に嬉しいよ」
Bさんは硬直している私のことなど気にしないで、そのまま話しかけてきました。
メイク教室で先生ととても仲良くなったこと、先生のことを知り尽くしていることを
得意げに話してきました。
Bさんはメイク教室の先生のことを調べつくして、自分のものにしてしまったように感じました。
先生の特徴や個性を自分の中に取りこんでしまったのでしょう。