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不思議体験

皐月さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

双子ならではの不思議さ
短編 2021/02/21 22:59 1,727view

男友達のNには、双子のお兄さんがいます。一卵性の双子である彼らは、私では見分けがつかないぐらいそっくりなのです。
そのため、昔からよく入れ替わって遊んでいました。
ですが、唯一違うのはその性格です。Nは活発でスポーツ万能なのですが、お兄さんの方はスポーツが全くダメなのです。
そのため、Nは常に小麦色の肌をしていて、健康的なのに対して、お兄さんは色白でどこか病弱な印象でした。
双子には、昔から不思議なパワーがあると言いますが、あまり信じてはいなかったのです。ですが、あることがきっかけで、私は双子には本当に不思議な力があると思ったんです。

それは、Nが冬山で遭難した時のことでした。
一緒に行っていた私や友人、そしてNのお兄さんは、必死に雪の中を探しましたが、どこにもNの姿が見つからなかったのです。

やがて、天気は吹雪となってきて、私たちは捜索は困難ではないかと思ったんです。
と、不意にNのお兄さんがある方向を指差したのです。そして、いきなり「あそこにいる」と叫んだのです。
ですが、私達は絶対にあり得ないと思ったのです。なぜなら、そこは何度も皆で探した場所なのです。そこにNがいるわけないと思いました。
ですが、お兄さんは間違いなくそこにいると言って駆け出して行きました。そして、ピンポイントでここだと指差すのです。
そこは、大きめの木がある場所でした。

「ここにいる。間違いないっ」
と、あまりにも言うので訳を聞くと、お兄さんは胸の真ん中辺りを触り、「ここがさっきから冷たいんだ。どんどん、冷たくなっていくんだ」と説明するのです。それは、表面ではなく内側のことらしいのです。お兄さん曰く内臓が冷えていくような感じということです。

私たちは、吹雪となるなか、無我夢中で掘りました。

そして、かなり掘ったとき、Nが着ていた青いジャンパーが見えたんです。
私たちは、慌てて掘り進めました。
そこでは、Nが横向きに倒れていました。意識はありませんでしたが、命に別状はなく、医師の検査を受けて帰されました。ですが、その後のNの言葉には驚かされました。
「意識はあったんだよね。でも、なかなか答えられなくて。とにかく胸が苦しかったな。内臓がどんどん冷えてきて、もうダメだと思ったよ」
お兄さんが言っていた言葉を思いだし、少しヒヤッとしました。
双子は、やはり深い繋がりがあるのだろうかと思った瞬間でした。

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関連タグ: #夢#山#雪
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