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意味怖(意味がわかると怖い話)

ねこじろうさんによる意味怖(意味がわかると怖い話)にまつわる怖い話の投稿です

届かない声
短編 2022/09/20 17:12 3,111view
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─あれ、、、こんなところに、喫茶店なんかあったかな?

オレは特に理由もなく、重々しい木の扉を開ける。
カラカラカラーンという音とともに、かなりキツイ脂の匂いが鼻をつく。
それから小ぢんまりとした薄暗い店内を見渡す。

ワインカラーのカーペットに同色のソファー。
壁には、ビートルズのラストアルバム「アビーロード」のジャケットが飾ってある。
奥には、五、六人座れそうなカウンター。
その向こうには、白のワイシャツに黒い蝶ネクタイのマスターらしき男性。
まるで、昭和の時代にタイムトリップしたようなレトロな内装だ。

俺は、窓際にある二人がけのテーブルに俯きながら腰かける。

ふと顔を上げると、向こう側の二人がけのテーブルに女性が一人、こちらを向いて座っている。

年齢は30代後半くらいかな。いや、もっといってるかもしれない。
ロングのストレートな黒髪に、細面で色白の顔。
黒のタートルネックのセーターを着ていて、かなり痩せているようだ。
華奢な長い指で長い黒髪を軽くかきあげると、ゆっくりとコーヒーカップを口元に近づける。

それとなく目線を動かしていると、何度か目が合ったような気がした。いつもならそれで終わるのだが、なぜかその時の俺は違っていた。
今日のことで、少しやけくそになっていたかもしれない。
彼女が次にこちらの方を向いたタイミングを見計らい、思い切って
「こんばんは」と声をかけてみた

彼女は一瞬少し驚いたような様子を見せて、俺の方を見たのだが、すぐに先ほどの落ち着いた表情に戻り、またコーヒーカップを口元に近づける。

「あの、ここには、よく来られるんでしょうか?」

俺は必死に言葉を繋げていく。

果たして俺の声が聞こえているのかいないのか、向こう側のテーブルの彼女はちょっと考えこむように窓の方を覗きこむと突然、後ろを振り向き口を開いた。

「すみません、駅に人が多いみたいですけど何かあったんでしょうか?」

「え!?駅に人?あ、、それは」

意外な質問をされた俺は、どぎまぎしながらも最後まで説明しようとしていたら、カウンターの向こう側にいたマスターが、しゃべりだした。

「あ、あれね。人身事故があったらしくて、上下線がしばらく不通になっているみたいだよ」

「人身事故?」

「うん、詳しくは分からないが、40代くらいの男が線路に飛び込んだらしくて」

「え、飛び込み自殺ですか?」

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コメント(1)
  • もの悲しいな

    2022/09/21/17:38

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