俺だけ見える心霊写真

Ｃの訃報を聞いた時はそんなむごい死に方をしたのかと青ざめた。
追悼中は勿論Ｃの死を嘆きはしたが、それ以上にそんな哀れな死に方だけは絶対に嫌だと俺は震えがっていた。

勿論、Ｃの訃報は馴染みのメンツにも伝わっており、久しぶりにライングループで話をした。
Ａに続いてＣまでもが……。
話題はまさに二人の訃報だったがせいか、殆どすすり泣くような声と沈黙で過ぎていくばかりだったが、最後にはＡとＣの墓参りに一緒に行く約束をして通話を切った。

それから数カ月後、リフォームを終えた我が家に帰ってきた俺は、自分の荷物整理に励んでいた。
家具は業者が配置してくれているが、この山のような段ボールは自分で指定の位置に戻さなければならない。
この際、高校より以前のものは段ボールのままクローゼットの奥にでも押し込んでおけばいいが、流石に高校からのものは今でも使う事が多いので、めんどくさいが一つずつ開けて取り出していく。
すると作業中、リフォーム前に見つけたアルバムがまた出て来た。
今回Ｃが亡くなったせいか、俺の手は自然とアルバムを捲っていた。

そこにはＡやＣの少し若い頃の姿がある。
中学の頃は殆ど毎日遊んだものだとしみじみしていれば、またあの嫌に目につく写真で視線がとまる。

無表情の５人が並んで写った一枚の写真。

どうしてかこれだけは何処で撮影したものか一向に思い出せない。

夜に撮影されたものなら、それこそ夏祭りとか野外で寝泊まりした時のものなんだろうけど、どうしてこうも記憶に残っていないのか自分でも不思議だった。

写真をアルバムから抜き取った俺は、この写真についてＢとＤに聞いてみる事にした。
さっそくラインで『この写真いつのか覚えてる？』と打ち込んだ後に、スマホで撮影した写真を添付した。

数十分後、先に返信したのはＢだったが、Ｂは『全然おぼえてないわ、てか全員顔こえーな』とつづっていた。
Ｂも覚えてないか…。
少し期待していた気持ちがあったからか残念な気持ちになったが、Ｂにはアルバムから出て来たと返信する。

それから更に数十分後、今後はＤから返信が来たが、やはりＤも写真の風景には見覚えがないが、『Ａがいるってことは高校あがったころじゃね？』と推理する。
それだと比較的最近のことになるんだが、俺達三人にはこの写真を撮った記憶が無いと断言できるほど覚えていなかった。

んで、俺はもう一つの本題でもある俺達の背後に写り込む人影みたいなものが分かるかと聞いてみたんだが、ＢもＤも『わからん』とぶっきらぼうな返事を送ってきた。
確かに人影はモザイク調みたいによくみないと人に見えないので、そのせいで分かりづらかったんだと思って丁寧に画像編集で人影を丸で囲って教えてあげる事にした。
だが、それでも二人は『全然人に見えない』と一向に納得しないばかりか、『不謹慎だからやめろよ』としまいには怒られてしまった。

写真に写るＡもＣもこの世にいない。
改めて考えれば、俺のこの行動は５人の思い出の写真を引っ張り出してきて『見て見て！幽霊写ってる』と茶化したようなものだった。

俺は『ごめん、気のせいだった』と素直に謝罪の文面を送ると、何とか二人を怒らせずに済んだ。

それで、写真の現物をアルバムに収めようとした時、少し写真に違和感を覚えた。
そういえば前に見た時より人影の位置が若干右にずれているんだよ。
Ａ、Ｃ、Ｄ、Ｂ、俺と並んで、その後ろの背景に人影っぽいのが居るんだけど、最初見たときはＡよりに立ってたように見えたのに、今見るとＣの方に動いてた。