時計に憑りつく子供

私の通っていた小学校には止まったままの時計がありました。

床に設置する背の高い振り子時計です。

随分と年季の入った時計で動かなくてもアンティーク調のインテリアとなっていました。

この時計に関して年配の先生に「もう直らないの？」と尋ねた所「実はこの時計修理すれば動くんだよ」と返されました。

詳しく話を聞くと今迄何度も修理に出して直後はきちんと動いているものの、暫くすると必ずある時刻で止まってしまうのだそうです。

聞く所によると昔地震があってこの時計の下敷きになって亡くなった生徒がいました。

最初に時計が止まったのはその時です。

不幸な事故の後、時計は修理され再び時を刻むようになったもののまた最初に止まった時刻で止まってしまったそうです。

何度直しても同じ事が繰り返されるので修理自体を止めてしまったとの事です。

きっと亡くなった生徒が自分の事を忘れないでと言う意味で時計の針を止めてしまうのでしょう。

その後時計は処分されました。

噂ではアンティーク好きのコレクターに買われたそうです。

きっとそちらでも修理されて時を刻むのでしょうが恐らくまた同じ時刻で時を止めてしまったと思います。

まだその子はその時計と一緒にいる事でしょう。