誰も住まなくなった実家で

これは私自身が体験した話です。

父が２０年前に他界、母は数年前に認知症の悪化で老人ホームに入所。

実家は無人となりました。

それで、業者に頼んで片付けてもらう前に、最終チェックに実家に行ったんです。

人の住んでいない家というのは、こうなるのか・・・という位、なんだか少しの間に凄く荒廃していて・・・。

それだけでなく、家に入った瞬間から、真夏なのにぞわっとした感じで。

どうやらそれは夫も息子も同じような感じで、何となく怯えているようでした。

二階に少し私達の私物が残っていたので、上がったんですが、私物のおいてある部屋に入って整理していたら、部屋中の物がゴソゴソと音を立てて動くんです。

こ、これは何・・・？なんか、動いてない？なんで・・・？と息子が小声で。

夫は、ネズミじゃない？と言いつつ、顔が強張っています。

ずっとゴソゴソと部屋の色んな物が触ってもないのに動いていて、だんだん私達は怖くなってきて、目配せして慌てて部屋を飛び出しました。

もう怖くて、怖くて、たまらなかったので、帰ろうって急いで家を出ようとしたら、廊下の奥からこの世のものとは思えないような声が聞こえて、その瞬間もう猛ダッシュで家から脱出し、車に乗り込みました。

車に乗ってから、夫と息子が同時に、あの声聞こえた！？と咳切ったように言ったので、私だけ聞こえたんじゃなかったんだ！と。

実家はその後売却して、あの体験は一体何だったのか？未だに分からないままです。