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心霊

皐月さんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

ホテルで過ごした眠れない一夜
短編 2021/02/10 20:43 3,033view

友人の結婚式に出席するために上京した私は、ホテルに泊まることになりました。せっかくだから、奮発してちょっと良い部屋に泊まろうと思ったんです。
一泊5万円なので、普段よりはほんの少しグレードの高い部屋に泊まることにしました。

ですが、最初にフロントに行った時に、ちょっと嫌な感じはしたんです。受付の人が、すごくオドオドしているようで、何度も奥へと引っ込むんです。
そして、ややヒキツッタような笑顔を浮かべ、部屋へと案内してくれました。

室内は、ブルー系の色で求められていて、とても爽やかな印象でした。
私は、とりあえず荷物を置いて友人や家族に連絡をしたりしていました。

結婚式は翌日なので、早めに寝たんです。
ところが、眠る度に悪い夢を見ては目が覚めたんです。
誰かに追いかけられたり、崖から落ちそうになったりと、まるで実際に体験したかのようだったんです。その度に汗だくになって起きてしまい、何回着替えたかわかりません。
なんだか眠ることが怖くなってしまったんです。

ホテルに泊まったことは何度もあるのですが、こんな気分になったことはありません。

その時、ふとある話を思い出したんです。

友人が、ホテルの部屋に入った時には絵や写真をひっくり返した時に、もしお札があったら要注意だと言われたんです。
まさかね、まさかだよ。と、思いながらも、安眠のためには確かめなくてはと思ったんです。
そこで、部屋に飾ってある写真をひっくり返してみたんです。

答えは、ありました。
でも、一ヶ所ぐらいはあるのかもしれない。
例えば、旅の安全を願ってのことかもしれないと思って、私は他の写真や絵画もひっくり返して見たんです。
すると、すべての裏にお札が貼ってあったんです。
瞬間、背筋がゾゾッとしました。

もちろん、お札が貼ってあったからといって何かがある。なんてことはありません。
でも、なぜこんなにお札があるのかが気になってしまいます。

そして、思い出すのがフロントでのことです。
あのオドオドした態度には、なにか意味があったのではないかと思ったのです。

時計を見たら、まだ時刻は深夜の2時。違う部屋に変えてもらうわけにはいかないだろうし、だからといって、お札を見てしまった以上、なにも気にせずに眠ることはできません。
私は、結局一睡もできないまま、朝を迎えました。

半ば朦朧としながらフロントに行くと、昨日とは違うフロント係の人がいて、私は思いきってお札のことを尋ねてみました。
フロント係の人は、お札の話にサッと顔色を変えました。
そして、小声で教えてくれたんです。

なぜか、私が泊まっていた部屋に宿泊した客は、必ず部屋を変えてくれと言ってくるそうなのです。
何があったのか質問しても、顔面蒼白で、なにも語らないままチェックアウトしてしまうそうなのです。
従業員の間でも、その話は噂になり、お札を大量に飾るようになったのだそうです。
理由がわかり、ホッとしたような、逆に不安になるような、不思議な感覚でした。

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