かくれんぼの秘密

あれはそう、

私が４歳を迎えたある夏の出来事です。

当時、私は１１F建てのマンションの４Fの一部屋に家族５人で暮らしていました。

１つ年上の兄と生まれたばかりの妹、両親の５人暮らしです。

兄とは年子だったせいもあり、私は男の子の遊びばかりをするやんちゃな女の子でした。その日も私は、兄とマンションの階段を使ってかくれんぼをしていました。祖母からもらったお人形のメイちゃんをかくれんぼのお友達に階段の踊り場に息を潜めて隠れていましたが、すぐ兄に見つかり、次は私が鬼をする番に。

数を数え終え、兄を探しました。どこを探しても見つからず、途方に暮れていたとき、３Fの自転車置き場から、ガタっという物音がしたので私は兄だと思い、すぐに探しに向かいました。ところがどんなに探しても兄はいません。声を掛けて読んでも兄からの返答はありませんでした。

確かにそこから音がした気がするのですが、結局兄は見つからず、私は家に戻ることにしました。

隠れつかれた兄もそのあと家に戻ってきました。「3Ｆにいたでしょう？」と聞いても兄はとぼけているのか、違うよと一点張り。

次の日の朝、起きてみると３Ｆで騒ぎが起きていました。管理人さんと警察官が話をしていました。

どうやら、３Ｆの自転車置き場で誰かが暮らしていた形跡があったそうです。

しかも残された誰かの荷物から想像すると、数週間前に近くで起きた強盗事件の犯人の証拠品という話。

そうです、昨日、かくれんぼのときに私が聞いた音は、その犯人が出していたのです。運よく見つけられなかったから危ない目に合わずに済みましたが、

危機一髪。何事もなかったのが奇跡のようです。