御札の話

○男は高校卒業して就職した会社で虐めに合い、反撃したら相手が失明したとかで。それがきっかけで引き籠りになってからおかしくなってしまった
自分は人を不幸にする呪いの力がある。自分に歯向かう奴はみんな地獄に落ちる
と言って部屋中に変な御札を書いては貼り、ビッシリ御札だらけだった(これは父も見てきた)

伯母の家は畜産もやっていたが○男がみんな駄目にしてしまった。なので畜産はもうやらない
部屋から出てくると恐ろしい言葉と暴力で手が付けられなかった
父親(会社員)は庭に仕事部屋と称した小屋を建てそこで暮らしていたので母屋は女性ばかり。伯母もお姑さんも散々殴られていた

ある日部屋から出て来ない○男を心配して、○男の曾祖母(だけは弱者だからと手を挙げなかった)が見に行くと仰向けに倒れて泡を吹いていた。救急車を呼んだが、結局心不全だか心筋梗塞だかだったらしい

すごい話だね。と聞いていたが「御札」という言葉に体が固まる。父に見てきた御札の絵はこんなのだった？と書いて見せた。なんだ、流行ってるのか？そんな感じだったよ。そっくりだよ。と驚く父を見つつ、母と無言で見つめ合った

大丈夫。私が御札を剥がしてから10年は経っている。呪詛返しにしては気が長い話しだ
その前になぜ父の兄(○男の母の弟)嫁がそれを持っていたのか、なぜ我が家の、それも私の部屋に貼らせたのか

これは残念ながら未だにハッキリしていない。ハッキリしているのは○男が亡くなって直ぐに伯父(○男父)も亡くなった。御札をくれた伯母(父兄嫁)は重い糖尿病になって将来的に四肢の壊死も有り得るらしいし
父兄家の長女は精神を病んだ挙句今は新興宗教に出家した

らしいらしいで申し訳ないが、以上が私の高校生活とその後日談だ。全て法事で酔った父が親戚から聞いて来る話で私達母娘は父実家一族とは一線引いているので真偽は不明になってしまう

あれから20年以上経つが、人を呪わば穴二つ。皆様もお気を付けて