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ヒトコワ

18金さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

登校拒否のクライメイトA君の話
短編 2022/03/20 12:15 1,707view
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私が体験した話です。
小学校の頃、私にはA君というお友達がいました。

お友達と言っても私が周りのクラスメイトの中では一番A君と話しているかな、程度の仲です。
というのもA君はあまり活発な方ではなく、むしろ暗い部類の人間に分類されると思います。
ですので、クラスメイトでA君に進んで話しかける子もいませんでした。
私もあまりクラスでは目立つ方ではなかったので同じ空気を持つA君とそれなりに接する機会が他の人より多かったんだと思います。

私の小学校は田舎にあったので1学年1クラスという小規模学校でした。

小学校3年生のとき、A君が学校に来なくなりました。
所謂、登校拒否児童になったのです。

小規模な学校なので田舎の先生方もあまりこういった経験がないようで対応に困っていたような記憶があります。

ある日、担任の先生が私に「私君はA君と仲良かったから様子を見てきてくれる?」と言ってきました。
今なら、学校が生徒に対応を丸投げした、なんて思うのでしょうが、当時の私にそんな考えはなく素直に「はい、わかりました」と言って引き受けました。

学校の帰りにA君の家に寄りました。
以前に数回A君と一緒に帰ったことがあったため家の場所は分かりました。

玄関にはA君のお母さんが出てきました。
お母さんは不機嫌でした。
子どもながら「いじめにあって自分の子が学校に行かなくなった」と思っている親の顔だと思いました。

A君に会いたいことを伝えると玄関まで連れてきてくれました。

「今日はわざわざありがとう、また学校に行けるようにがんばるよ」と言ってまた中に戻っていきました。
お母さんも「Aもこう言っているので、またね」と言って玄関を閉めました。
私は帰り道で考えました。

「誰だ、あの子」

さっき会ったあの子はA君ではありませんでした。
お母さんはA君のお母さんでした。以前会ったから分かります。
だけどA君の顔ではなかった。元気がないとかそういうレベルではなく、全くの別人だったのです。

その後、担任の先生にそのことを話しましたが、すぐにA君が引越しをしてしまったため詳細は分からないままでした。
後々から何とも気持ち悪いと思ってしまう経験でした。

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コメント(1)
  • 背乗りだろね。

    2022/04/26/18:41

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