歴史あるお寺の黄金の鯉

私が生まれ育った地区には三百年の歴史を誇る寺が建っており、境内にはそこそこ大きい池がありました。

池にはたくさんの鯉が泳いでいて子供の頃はよく見に行きました。

その鯉の中に一匹黄金の鯉が紛れており、見付けた際は願をかけるといいと言われています。

この鯉にお願いしたのがきっかけで競馬で大穴をあてたと自慢しているおじさんがいたので、都市伝説といえども馬鹿にできません。

同級生のやんちゃ坊主たちが池に入って捕まえようとしたこともありますが、そういうときは不思議と見付からず無駄な時間だけが過ぎていきました。

一説によると黄金の鯉は龍神の化身で、この池は地下で町中の井戸に繋がっているそうです。

貧乏でも真面目で心優しい人が願をかければ地下水脈を伝って泳いでいき、お金代わりの金の鱗を落としていくのだとか。

噂を聞き付けわざわざ遠くから拝みに来る物好きが絶えず、お寺の賽銭箱は潤っています。

本当に龍の化身なら、お寺の池を守っているのかもしれません。