口裂けかかし

母方の祖父母が住んでいる新潟の村には口裂けかかしがでると言われていました。

そのかかしはパッと見普通のかかしと変わりませんが正面に回り込むと口が大きく裂けており、実に不気味な顔をしているといいます。

祖父母が暮らす村の子どもたちはこのかかしを見ると呪われると信じており、田畑の脇を通る際は俯いているそうです。

口裂けかかしには禁句があります。かかしに面と向かって

「目ン玉カラスにほじられろ、裂けた口で米を食え、食ってもぼろぼろ落っこちる」

と唄うと、襲いかかってくるというのがそれでした。

本当かどうかわかりませんが、五十年前の下校中に試した悪ガキは、かかしが後ろ手に隠し持った鎌で口を切り裂かれ絶命したと伝えられています。

助かりたければ一掴み米を渡してあげるといいそうです。

祖父母は「口裂けかかしは立ちんぼしても腹一杯になれない可哀想なかかしなんじゃ」と嘆いてました。

一体何故かかしの口は裂けてしまったのでしょうか？謎のままです。