正夢か予知夢か

引き戸を開けようとする音が。
無理矢理開けようとする音が。
こじ開けようとする音が。
誰かが開けようとする音が。
止まない。止まない。止まない。止まらない。止まらない。
つっかえ棒に引き戸が当たってガタガタと。
外には誰もいないはずなのに。

「何これっっ???何これっっ??誰かいるの???!!!やだっっっ!何っ???何っ???何なの!!!やめてっっっっ!!!やだ！」いとこが扉を見て叫ぶ。

「何なんだこれ…………………………誰かいるのか???」叔父が扉を見て叫ぶ。

「いたずら…じゃないよな………???違うよな……???」と父が扉を見て叫ぶ。

「やめてぇぇぇぇぇ!!何でこんなことが起きるのよ!!!嫌だっっ!!!来ないでっっ!!!来ないで来ないで来ないで」と姉が扉を見て叫ぶ。

私は声が出せなかった。叫べなかった。目を離せなかった。
この扉は引き戸で。ガラス製で。はっきりは見えなくても。人影はわかるのに。
見えなかった。

私は扉を見て呆然とする。

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

ガタガタガタガタガッタンガッタンガッタンガタガタガタガタガッタンガッタン

ガッタンガッタンガッタンガッタンガッタンガッタンガッタンガタガタガタガタガッタンガッタン

ガタガタガタガタガタガタガタガタ

ガッタンガタガタガッタンガッタン

カタ…

…………。

………………………………。

「いなくなった？」私は母を見て呟く。

バンッ!!!!!!!!!!!!!!!!!

白い手が母の腕を掴んでいる…………………………………………