いつもと違う叔母の姿

この話は今でも不思議に思っています。

今から二十数年前の話です。自分には父方の妹である叔母がいるのですが、彼女にまつわる話です。昔から叔母は色々と自分達兄妹に良くしてくれて、すごく優しい人物なのですが、ある日自分が近所を散歩している時に、叔母の姿を発見しました。

しかし、何故か様子がおかしく、自分の側を素通りしていきます。声をかけても無視して、そそくさと歩いて行ってしまいました。しかし冷静に考えると叔母の家は実家よりも全然離れているので、こんな近所にいるはずがないのです。それで、家に帰って母親に叔母が来ていたのか聞いてみると「来ていない」という話でした。

ふと電話が気になり見てみると留守電が入っていて、そこには叔母の声で「今地方に旅行に行っている」というメッセージが残されていました。と言うことは、自分が見た叔母は叔母ではなかったということになるのですが、しかしあれは間違いなく、叔母の姿でした。

それから3日後に再び、近所で叔母に遭遇しました。今度は声をかけずに、後をつけることにしたのですが、路地に差し掛かった時に見ると叔母の姿は消えていました。

この時、自分の中である合点がいきました。「きっとこの叔母は、旅行に行っている叔母の生き霊なんだ」
それで、叔母本人には、この話は一切しませんでした。