某ダムでの肝試しで撮った動画

「今、なんか動物おった？」

「は？どこに？」

俺が指差した方を照らすが何もなかったので、俺は首を傾げた。

「ビビッとんか？」

Ａがバカにしたように笑うので、俺は若干腹が立ちつつもその場を離れることにした。

合流地点に行くと既にＢとＣが居て俺達は軽く謝りながら合流した。

「そっちなんかあった？」

「脇道あったけど何もなかったわ」

Ｂの問いにＡがあっけらかんと返す。

Ｃがじっとこっちを見ていたので俺は気になった。

「どした？見すぎだって。怖いわ」

「いや、別に何でもないわ」

俺がちょっぴり冗談めいた演技をしたのに、Ｃは目を泳がせて顔をそらした。

それから何分かそこで話して収穫がないまま下山することになった。

来た道を戻り、トンネルに差し掛かったところでＣが立ち止まった。

「なあ、脇道って奥がちょっと丸まった感じの行き止まりだった？」

「お前知っとるんか？あそこ」

俺達はトンネルの前に陣取るように互いに顔を向けて話し込んだ。

「まあ親から聞いた話やけど、ダムの外れの脇道で首吊った奴おるって。そこしか脇道ないんやったらそこ怪しいなって」

「なんでそれ今言うんや。さっき言えや」

ＣにＡが突っかかるように喋る。

「もうちょっと調べればよかったな。戻ってみるか？」

「写真とってみるか」

Ａが残念そうに言うので、Ｂが乗っかる。

俺達は再びダムへ上り、例の脇道へ戻る。

本当に何もない木々に囲まれた空間で、枯葉の山とちょっと風にあおられたカサカサという音が聞こえるくらいだ。

「どの木なんやろか？」

「とりまここで写真とうぜ」

Ｂがスマホを取り出して四人で画面内に集まるように手招きする。

「なんで自撮りやねん」