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妖怪・言い伝え

もっちさんによる妖怪・言い伝えにまつわる怖い話の投稿です

山に住む(山に住むもの)
短編 2020/12/27 23:57 2,685view
これは山に関するちょっとしたお話です。
私の祖父母の住むところに近くには恵山(えさん)という山があるんです。
改めて調べてみるとこの恵山、新日本百名山であるとか北海道百名山に数えられるほどの山らしいのですが、子供の頃から聞かされてた恵山の話というと、あの有名な恐山と並ぶほどの霊山だということです。
そんな恵山にはもちろん、不思議な話がたくさんあるのですが、今回お話したいのは霊山に限らず至る所にある名もない山にこそある何かのお話です。

恵山から少し離れた祖父母の家は名もない山の麓にありました。家の裏には小さい畑があり、畑を出るとすぐに勾配のある坂道、山の始まりといったような場所でした。
小さいころに山の方へ遊びに行こうとすると必ず止められたものです。
「遊んで山に入っちゃだめだ。山には怖いものが住んでるんだぞ」
子供ながらに危ないところへ行かせないための方便だろうなとは思ったのですが、それでも感じるほんの少しの違和感。
怖い’人’ではなく、怖い’もの’

過去に一度だけその’もの’に近づいたことがありました。正確に言えば近づいてきたのですが。

祖母の畑仕事を手伝っていた時なのですが、祖母が突然山の方をただじっと見つめ始めたのです。
それに少し遅れて気づいた私は祖母の視線先に何がいるのか全く判別がつきませんでした。けれどもなぜか祖母に声をかけることもできずにただ祖母を見つめることしかできませんでした。
時間にして30秒でしょうか、突然腰の曲がった祖母がシャンとまっすぐに立って叫んだんです「何者だ!ここはおめぇさんの来るとこじゃねぇ!すぐに帰れ!」
驚きを通り越した衝撃でした。そして何より背筋に走る寒気となぜだか祖母の視線の先を見ることができない不可思議さは言葉に表すことができません。
今でも祖母はその山の’もの’について多くは語りません。近所の爺様婆様もみんな同じことを言うのです。

「山には怖いものが住む。」
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コメント(1)
  • 熊とか山羊かな?

    2021/09/24/07:34

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