オンライン飲み会

異様な暗さだ
電気を消したところで再現できないような
黒に黒を塗りつぶしたような

そんな黒の中でＡの姿がぼんやりと浮かんでいる

「なあ、Aの様子なにかおかしくないか？」

俺は他のみんなに聞いたが、誰も反応してくれない
他の話で盛り上がっている

「お・・・おい！　Aの様子おかしいって！　見てみろよ！」

俺は大きな声を出したが、やはり俺に反応してくれない

まるで俺だけ別の世界にいるかのようだった
こっちは見えるのに、あっちからは見えない

まるで幽霊のような

「う・・うう」

Aの声が聞こえてきた
騒いでいるはずの他のみんなの声が徐々に遠くなっていき、Ａの声だけがだんだんと大きくなっていく

「・・・で・・・だよ
・・・も・・・いよ」

何かつぶやいている

同じことを何度も

ずっとうつむいたままだったＡが左右に揺れ始めた

「・・んで・・なんだよ
・・・も・・・いよ」

さらに声が大きくなっていく
何を言っているかわからなかった言葉がだんだんと鮮明になっていく

左右の揺れが激しくなっていく
首があちこちに動く
舌が口からこぼれ、唾液があちこちに飛んでいく

「お・・おい！　Ａ！　しっかりしろ！」