友人の母

10代後半の時に、自分が体験した不思議なことと、その後日談です。

大学生の頃、友人達と心霊スポット巡りにハマっていた時期がありました。とある日も、車で友人達数人と、有名な関東の心霊スポットに行って、特に何も起きず盛り上がりに欠けたので、そのまま帰りにカラオケに行きました。

早朝までカラオケをして楽しんだあと、友人達と解散したのですが、私の家では朝帰りがまだ許されておらず、家族には友人の家に泊まると言って出てきたので、まだ帰るわけにはいかず、そのまま友人Aの家にお邪魔しました。

友人Aは、母親と二人暮らしで、門限などが緩いので、このような時に昔からよく家にお邪魔していたのですが、その日は、友人Aが玄関のドアを開けると、母親が玄関に立っていました。

これはさすがに、非常識だと怒られるかな？と思っていたら、「あんた達どこに行ったの？」と聞かれました。

友人Aが「カラオケに行ってた。」と答えると、「カラオケだけじゃないでしょう？」と言うのです。友人Aと私は顔を見合わせて「？」となっていました。

カラオケが楽しすぎて、その前に心霊スポットに行っていたことを忘れていたのです。すると、母親が「何かよくないところに行ったんじゃないの？」と。そこで、私達は心霊スポットに行ったことを思い出しました。

友人Aが「あー、心スポにも行ったわ。」と言うと、私達に向かって、母親が塩を撒いてきました。

びっくりしている私達の足元に水を撒いてから、玄関の隅に盛り塩をしはじめました。あっけにとられていると、友人Aが「なに！？どうしたの？」と母親に聞きました。

すると、母親が「あんた達、そういうところには二度と行かないで！」と言われ、そのあとは何を聞いても答えてくれませんでした。

その後、その母親の注意を聞いたというわけではないですが、心霊スポット巡りにも飽きていたこともあり、そのようなところに行くことはなくなりました。

そして、大学生活は終わり、社会人になり、その頃の友人達とも会う回数が減っていきました。

ですが先日、久しぶりに友人Aと会った際に、この話になり、あれは不思議だったね、という話をしました。あの日、友人Aは「誰とどこに行くか」などは母親に伝えておらず、なのにどうして私達が心霊スポットに行ったことがわかったんだろうね？と。

その前には、かなりの数の心霊スポットに行っており、何か言われることはなかったのに、あの日だけは、なぜ母親があのような反応になったのか、友人Aもいまだに謎だと言うのです。

そして、今なら何か教えてくれるかもと面白半分に、友人Aが母親に電話をかけました。友人Aは電話をスピーカーにしてくれ、今私と久しぶりに会っていること、あの時なぜあのような反応になったのかを母親に聞きました。

すると、母親は私に「久しぶりね～！」と喜んでくれたのですが、すぐに声色が変わり、あのときは本当に怖かったと言いました。

何が怖かったのか聞くと、「あの日、早朝にインターホンが鳴って、あんたがまた家の鍵を忘れたんか！と思って、玄関をあけようと思ったら、何か嫌な予感がしてドアを開ける前に覗き穴から外を確認したら、知らない女性が立っていて、とてつもなく寒気がしたから、玄関をあけずに塩と水を撒こうとしたら、あんた達が帰ってきた。」と。

「あんたが玄関のドアをあけたとき、まだその女性もあんた達の後ろに立っていて、ずっとあんた達のこと見ていた。」と言うのです。

もちろん、私達にはその女性がいた記憶はなく、帰宅したのは私達2人だけだったはずなのです。

塩を撒き、水を撒き、盛り塩をしたあとは、その女性の姿を見ることはなかったそうなのですが、あの時は本当に怖かったという話をしてくれました。

こうして、あの日から、数年後に答え合わせをしたわけですが、寒気がしました。