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不思議体験

へぴょ太さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

ウサギからのメッセージ
短編 2023/04/06 06:58 1,004view

私が小学校に入学した年、大好きだったおばさんが亡くなりました。幼かった私は、人が亡くなることの意味も分からず、棺桶に横たわるおばさんを見て、なんとなく悲しい気持ちになったのでした。

おばさんには一人娘がいましたが、すでに家庭を持ち遠い所にすんでいたため、遺品の整理などはほとんど私の母が済ませました。

遺品整理をしていると沢山のぬいぐるみや人形が出てきました。おばさんの趣味は手芸で、自分でぬいぐるみや人形を作っては私にプレゼントしてくれたり、泊りに行ったときに寂しくないようにしてくれました。

遺品整理ではそのほとんどを処分しましたが、私のお気に入りのクマのぬいぐるみと、見たことのないキラキラのウサギのぬいぐるみは私が貰うことになりました。

おばさんの家に泊まるときにいつも一緒に寝ていたクマのぬいぐるみと、新人のウサギのぬいぐるみに囲まれるように布団に入りました。

するとその日不思議な夢をみました。クマのぬいぐるみと手を繋いだ私に向かって、ウサギが「まだいる、早くみつけて」と言って走り去る夢です。夢にぬいぐるみがでてきたことが嬉しくて、この時は何も気づきませんでした。

次の日、また夢を見たのです。ウサギはまた「まだいるよ、早く見つけて。一緒だよ」そう言ってどこかへ行くのです。夢は数日続きました。決まっていることは三つ。一つ目は、私とクマのぬいぐるみが手を繋いでいること。二つ目はウサギが「見つけて」と必ず言うこと。

三つ目は言い終わったウサギがどこかへ行ってしまうこと。毎晩見る夢に違和感を覚え、夢のことを母に相談しました。母は遺品整理がまだ終わっていない段ボールが沢山ある部屋へ走って行きました。

母の後を追い私も部屋へ行きました。母は何かを探しているようでしたが、ガラクタと書かれた段ボールからそれを見つけ出しました。母が手にもっていたのはウマのぬいぐるみでした。

ウサギのぬいぐるみと同じようにキラキラしたウマのぬいぐるみです。

母が言うには、同じような夢をおばさんの娘も見ていたそうです。娘が見ていたのはウサギが「私を見つけて」と言って会いに来る夢だそうです。

この頃、私は十二支のお話が好きで、よくおばさんに読んでもらっていました。そして、娘は兎年で私は午年。おばさんは私たちの干支のぬいぐるみを作ってくれていたのです。

ウサギのぬいぐるみは娘へ送り、私はクマのぬいぐるみとウマのぬいぐるみと寝るようになりました。それからは私の夢にウサギが出てくることはありませんでした。

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