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不思議体験

ねこじろうさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

魂の行き場所
長編 2022/10/14 16:53 5,304view
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俺は絶対にいやだ!」

俺は何も答えられなかった。

というのは死んだ後のことなどは誰にも分からないことだから。

そこで俺は尋ねた。

「じゃあお前は、どう考えているんだ」

篠原は再び天井の一点を見つめてから、ゆっくり語りだした。

「俺は、
たとえ肉体が滅んだとしても魂は永遠に残っていくと思っている。
そして現在まだ生きている者たちと直接は交流出来ないとしても、何か別の方法で出来ると思っている」

「別の方法?」

「そうだ。
例えば
ベルを鳴らしたり、
机を叩いたり、
虫の調べを使ったり、
また別の者の口を借りたり、
いろいろな形で」

「なるほど確かにそうかもしれんな」

本当は全く理解を超えた考えだったが、俺は敢えて彼のために共感した。
すると篠原は、こんな意味深なことを言った。

「なあ、もしも、もしもだよ。
俺が死んでしまい魂だけになった後、他の人の姿を借りてお前に声をかけるかもしれんが、その時は怖がらずにいてくれるか?」

「ああ、もちろんだよ」

そう言って俺が改めて篠原の横顔を見ると、彼は満足げに微笑んでいた。

その後も俺たちはいろいろなことを取り留めなく語り合った。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

窓を被う白いカーテンの隙間から
朝の柔らかい陽光が射し込んできている。

トタン屋根の雨音は既に聞こえなくなっていた。

いつの頃か急に無口になった篠原が気になったから、ふと横を見ると瞳を閉じたままポッカリ口を開いている。

3/5
コメント(1)
  • 涙してしまいました。
    友達の分も生きて下さい。

    2022/10/15/14:13

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