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妖怪・風習・伝奇

7Gさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

雨が降らない場所
短編 2022/08/25 21:48 2,371view

雨が激しく降る日に山道を歩いていると、なぜかそこだけ雨が降らない場所があるらしい。その場所は空中に妖怪が潜んでいて、雨水を自分の身体に吸収している。だからもしそういう場所に遭遇したら決してそこにどどまってはいけない。すぐに逃げるんだよ。そして上は絶対に見ないこと。妖怪は姿が見えないけれど、人の目に敏感なんだ。一度目をつけられたらもう生きて戻ってこれないからね……

まったく、ばあちゃんの昔話は長すぎるよなぁ。ちょっとそこの清水さん家に使いに行くだけじゃないか。そんな雨も強くないし、そんな心配するこたぁねぇだろ。
でも、随分と強い雨になってきちまったなぁ。正直森を突っ切った方が早そうだ。まだ夜じゃないし、走ればすぐだろう。

そういうわけで俺は森を通ることになった。

さっき降り出した雨とはいえ、地面はもうベチョベチョで、草履が水を吸いはじめている。心なしか雨足が強くなってきた。

くそっ、こうなったら走り抜けてやる!

俺は森ん中を駆け出した。踏み込むたびぐちゃりぐちゃりと音を立て、泥の飛沫が足をまとわりつくのを感じる。

ふと、地面の感触がガラリと変わった。さっきまで傘にあたっていた雨の音もやんだ。
あたりは静けさに包まれている。

なぜ……?

よく足元を見ると、自分のいる場所が中心となって半径が2間ほどの円状の地面がカラカラに乾いている。
その円の外側は依然として雨が降っているようだった。

これはまさか……やばい、逃げなきゃ。
でも、足が、足が動かない!

ぴちょん。

なすすべがなく、しばらくその場に固まっていたが、傘にあたった1滴の水音をきっかけに足が動くようになった。

早く、早くここから逃げないと。
とにかく前に進むんだ。

雨の音は徐々に戻ってきて、足元のぬかるみ具合もさっきのようになってきた。

なーんだ、なんともなかったじゃないか。

ビビって損したぜ。

先程よりも軽い足取りで歩いていたが、雨の強さがひっきりなしに強くなってきた。

さすがにこの雨はやばいぞ。急がなきゃ。

足元は泥でぐちゃぐちゃ、握りしめる傘はぼとんぼとん、と特大の雨粒があたっているのが感じられる。

と、ぬかるんだ地面に足を取られて転んでしまった。その拍子に傘は投げ出され、頭から水を浴びた。

まずい、早く傘をささないと……。

その時ドーンと大きな音が鳴り響いた。

なんだ?と思った少年はそこで空を見上げた。いや、見上げてしまった。

あ、

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コメント(1)
  • 妖怪尻影屡

    2022/08/26/06:57

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