テントを開ける祖父

私が中学卒業する年の誕生日。
お祝いを兼ねて家族でキャンプに出かけることになった。

出発予定日の1週間前。
祖父が肺炎になり急遽入院することになった。
高齢なのでいつ容態が急変するか分からない為キャンプを中止にしようという話が出たが祖母の「お祝いだしすぐ急変するってこともなさそうだってお医者様も言ってたら行っておいで」と言ってくれたので予定通り決行することになった。

キャンプ当日。
キャンプ場は山奥で当時はPHSが主流だった時代。キャンプ場に着くまでに電波は入らなくなっていた。

早朝につきテントなどを設置し川遊びやBBQを自然の中で1日楽しみテントに入り寝ていた時。

テントのジッパーの音で目覚めた。

寝ぼけながら周りを見渡すと妹も両親も寝ている。

気のせいかとテントの入口を見るとジッパーが確実に少しづつ上げられている。

怖いと思ったのも束の間。

開いたジッパーからは祖父が顔を出していた。
おじいちゃん？
そう思った瞬間祖父は顔をひっこめてジッパーを閉めた。

夢かと思ってそのまま寝落ちしてしまい次の日両親に告げると何かあったのかもしれないと電波の届く所まで急遽山を下ると今日の明け方祖父が亡くなったと留守電が入っていた。