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不思議体験

あんこさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

鏡の中のおじいさんと猫さん
短編 2021/12/11 17:12 725view

私が小さい頃に体験した話です。

私の兄の同級生の母親(以下Kさん)と私の母は仲良くしていました。
Kさんは、着物の着付けを教えたり料理を教えたりしてる人でした。
着物や着物に付ける装飾品などもたくさん持っていて、着物を着る機会があった私の母親はKさんに、着物の着方や装飾品を借りたいと言ったら「誰もいないし暇だからお家に遊びに来て!」と言われました。
私は小さかったのでお留守番させるのも心配だと思った私の母は、私の事もそのお家へ連れて行きました。
Kさんと私の母親が着物の話をしている間、私はとても暇でKさんの得意料理のお赤飯を食べさせてもらっていました。
1人でもぐもぐ食べていてふと気になったものがありました。

部屋を出た所に突き当たりの廊下があって、その突き当たった所に大きめの姿見が置いてありました。

そしてその姿見に、おじいさんと可愛い猫が座って気持ちよさそうに日向ぼっこをしているのが映っていました。確かにあの廊下は太陽がよく当たっていて暖かい場所でした。
私はとても人見知りだったので、日向ぼっこしているおじいさんと猫の所には行けず手を振るのが精一杯でした。
でも、おじいさんに手を振ってもニコニコしているだけで手を振りかえしてはくれませんでした。不思議な人だなと思いました。

母が私の所に戻って来て、「お話終わったから帰ろう」と言ったので帰る支度をして玄関へ向かい、Kさんにバイバイ!と言ってお家に帰りました。
家に帰って母が「1人で退屈じゃなかった?話が長くなってごめんね。」と言ったので、「おじいさんと猫さんもいたから退屈じゃなかったよ!」と私は言いました。
そうすると母が物凄く驚いたように「えっ!?」と言って、「誰もいないはずなのに…。」と言いました。

兄にもその話をしたら、兄の同級生のおじいさんと大事に飼っていた猫はもう亡くなっていて、あの家には兄の同級生とKさんと父親の3人で暮らしていると言っていました。
小さかった私は気付きませんでしたが後から考えると、鏡に映っていると言う事は鏡の前におじいさんと猫が座っていないと鏡には映らないので、実物はなく鏡の中だけに見えていたおじいさんと猫は生きているものではなかったのだなと思いました。
おじいさんと猫は今でも家族が心配であの突き当たりの廊下で日向ぼっこをしながら3人を見守っているのかなと思いました。そんな不思議なお話です。

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関連タグ: #事故物件#猫#鏡
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