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心霊

withさんによる心霊にまつわる怖い話の投稿です

某ダムでの肝試しで撮った動画
長編 2021/10/30 21:08 4,365view

高校生の時、友達4人と地元の某ダムへ肝試しに行ったことがある。

そのダムには俺の親世代からあまり評判のよくない噂があり、自殺の名所だとかゆうれいが出るとか、とにかく地元の人間なら大抵は知っている場所だった。

ダムは高台にあるから山を登るわけだが、道中にあるトンネルもまた劣化が酷く、辛気臭い。

「幽霊よりヤンキーのほうがこえーかも」

廃墟や心霊スポットなんかに実際行ったら意外と同じような輩が来ていて賑やかだって話も聞いたことがある。

とはいえ、田舎なのでそうそう誰かと遭遇するなんてことはない。街灯も車通りも何もない、本当に田舎の局所的なひっそりとした奥地だ。

わざと声をあげてトンネル内の反響を楽しんでた俺達は、トンネルを抜けて噂のダム付近に到着した。金網に囲まれた施設のようなものがあるが侵入できそうにないので、周辺を散策することにした。

二人二組になって俺はAと一緒に右方向の道を歩いていく。BとCが左方向へ歩いて闇に紛れる前に何か手を振っていたが、何を言うわけでもなく分かれた。

「木で首吊ってたてのはこの辺か?」

「いや、知らんし」

ダムでの自殺はよく聞くが、実際どこで死んでいたのかは俺は知らない。木で首吊りしたなら施設内ではないと思うが、ここは山だ。どこの木かなんて見分けがつくはずがない。

しばらく雑談しながら進んでいると敷地とは違う獣道のような細い道筋を見つけた。

「こっちは何があるんやろ?」

Aが興味本位に懐中電灯を向けて奥を照らすがどこまでいっても木と暗闇しか見えなかった。

「ちょっと行ってみん?」

「迷子なっても知らんよ」

俺はAの提案に一度は渋るが、やっぱり夜のテンションに負けて誘惑についていくことにした。

動物が通ってるのか地べたに雑草があまり生えてないから歩きやすかった。

たまに変な鳥みたいな囀りが聞こえるから上を見回しながら進むが、空を覆うほどの大木ばかりでほとんど葉っぱしか見えなかった。

ちょっとした広場に差し掛かると道は途絶えて周辺は木に囲まれていた。

「なんもないやんけ」

Aが落胆したように枯葉を蹴り上げた。

するとその葉音に紛れたようにガサッと何か聞こえたようなきがした。

「今なんか聞こえんかった?」

「あ?」

俺がそう言うとAはじっと止まって耳を澄ませる。

「なんも」

懐中電灯で辺りを照らすが斜面とか木の影しかない。

「戻るか。BとCも待っとるかもしれんし」

Aが振り返る時、ライトが切るように動く合間に人影が見えたきがしたので、俺は一瞬ビクッと肩が上がった。

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