幽霊を見ることができるようになったきっかけ

自分がとある大学病院から退院した時に起こった話です。

自分が難病指定の病気になり、治療のために二週間近く入院していました。病院では特に何かが起きることもなかったのですが、母と退院祝いをするために飲食店に入った時のことです。

今思うと、その飲食店は外見からして薄暗いイメージがありました。
中に入ると、やはり人が少ない。でもそんなことは気にせずに案内された席に行きました。

ですが、案内された席には人が座っており、店の人が案内する席を間違ってしまったのかと思いました。なので案内された席とは違う席に着きました。
けれど母は、案内された席に座っていたのです。すると母は、同じテーブルに座ろうとしない自分を見て、「早く座りな」そう言ったのです。

ですが、自分には確かに座っている人が見えています。
そんな自分の行動を不思議に思った母は、自分に座ろうとしない理由を聞いてきました。なぜか躊躇もなくすらすらと母にさっき見たことを話しました。信じてもらえないだろうな、そう思っていたのですが、母は自分が話したことを信じてくれました。

それから、母と自分は席を変えてもらうためにレジに行き、店員の方に理由を話してから席を変えてもらいました。普通の人なら幽霊を見た、あるいは幽霊っぽいものを見た。そう言うと、困惑しながらも席を変えてくれると思います。ですがその店員の方は何も動じず、席を変えてくれたのです。
きっとその人は、あぁ、またか。そう思って席を変えたのかなと思っています。
自分はその日から、幽霊というものを見ることができるようになりました。