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不思議体験

Ashさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

空き家の封印された箪笥
短編 2022/01/25 18:18 1,087view
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私が中学生の頃の話です。団地内にひとつの古い空き家がありました。木造でボロボロの、いつ崩れるかといった空き家です。

やんちゃをしたい年頃だった私と友人2名は、肝試し感覚でその空き家に侵入することにしました。

玄関は板で打ちつけられ、すべての窓には鍵がかかっていました。しかし一箇所だけ、便所の小窓だけが鍵もなく簡単に開くことを友人が知っていたのです。ぎりぎり身体を通せるくらいの狭い窓です。

人目を忍んで中に入ると、真っ昼間でもカーテンを閉めきっているため薄暗く、ホコリとカビの臭いが鼻を突きました。

居間の壁にはモノクロの写真が飾られており、なかには軍服を着ている写真もありました。

そして、ひときわ目を引く立派な箪笥がありました。なぜかその扉の取手は、着物の帯のようなものできつく縛られ、開けられないようになっていました。

正直、内心ビビっていた私たちは誰も箪笥を開けようとせず、二階の物色に移りました。

二階では思わぬ物を見つけました。いわゆる「大人の雑誌」が何冊もあったのです。緊張していた私たちは拍子抜けし、声を上げて爆笑しました。

すると、ドンドンドン!と一階から戸を叩くような物音。

「やばい!今の声でバレて誰か来たんだ」と、私たちは大慌てで階段を降り、居間を通って便所の小窓から逃げだしました。運良く近所の人に見つかることはありませんでした。

しかし誰にも言えませんでしたが、逃げながら私は見てしまいました。居間の箪笥が揺れていたのを。

私たちが走って逃げたせいで揺れただけかもしれません。でも、戸を叩くような物音は、本当に外から聞こえたものだったのでしょうか。

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