踏切横のシャッター

　これは、私が3〜4歳の時のお話です。
　地元の商店街を少し外れた道を行くと、いつも静かで人気の無い道があり、そこには踏切がありました。
商店街の中を通ると人がたくさん居て混んでいるので、よくその踏切のある道を通っていました。その道は、家までの近道でもあったのです。

　そして、踏切を渡ったすぐのところに、いつも閉まっているシャッターがあり、そこには子供が大好きな某キャラクターの絵が描いてありました。

　子供が皆大好きなキャラクターでしたから、私かお姉ちゃんが「ここで写真撮りたい！」と言ったのでしょう。母はそのシャッターの前で私と姉の写真を撮りました。

　数日後、母はママ友とお茶をしていたそうです。その時、例のシャッターの前で撮った写真をママ友に見せました。

　すると、ママ友は急に血相を変えて「なんでこんなところで写真撮ったの？！」と言うのです。

母は、ただそのキャラクターがかわいかったのと、私達に頼まれたから写真を撮っただけだったので、ママ友にそう言われ、驚きました。
なんでそんな風に言うのか聞いてみたところ、ママ友が言いました。
「昔、その踏切で女性の飛び込み自殺があったんだよ。それで、そこのシャッターに血しぶきが飛んで、何をしてもきれいには取れなかったんだって。それで、上からペンキでそのキャラクターの絵を描いて消したって聞いたよ…。」

母はその話を聞いてとても驚き、後日その写真はお祓いをしてお焚き上げしてもらったそうです。

　現在もそのシャッターは地元に存在しています。
　商店街は、昔よりも遠くから来る観光客が増えました。
そして毎年、夏にはそこのシャッターのある通りには屋台がたくさん並ぶお祭りあります。そのお祭りも、たくさんの観光客が来ます。
　地元に住んでいた、私達でさえそのシャッターの絵がある理由を知らなかったくらいですから、観光客の中には、私達と同じようにシャッターの某キャラクターと一緒に写真を撮ってしまった人も居るかもしれませんね…。