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呪い・祟り

ねこじろうさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

山あいのラブホでの一夜
長編 2023/08/22 16:15 19,453view
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そこは暗闇の中、鬱蒼と拡がる山林。

その手前辺りの道に沿って怪しく灯るアーチ型の電飾看板。

Sは速度を落とし車を左に寄せると、ゆっくり走り出した。

看板には「LOVE SPOT こもれび」という文字がピンクの光を発している。

「こんなとこにも、あるんだ」

感心し呟きながら彼はゆっくりハンドルを左に切り、アーチ型の看板の真下を潜り進む。

そしてしばらく両側に木々の迫る狭い山道を走ると、やがて道が開け草地が広がった。

そこでSは車を停め、ヘッドライトで前方を照らす。

手前には「LOVE SPOT こもれび」と書かれた木製の立て看板があり、その後方にロッジ風の平屋の建物が数軒疎らにあるのが見えた。

「ここ、やってるのかな?」

ハンドルに顎をのせたまま、ぼそりとSが呟く。

「ここ何だか気味悪いよ。もう帰ろうよ」

N美が不安げな顔でSの顔を見る。

彼女の言葉が聞こえているのかいないのか、彼は無言のまま再び車を動かしだす。

悲しいオスの本性だけがSを突き動かしているようだ。

点々と立ち並ぶ、ピンクの屋根に白い外壁の建物の間をぬって、ゆっくりと進んでいく。

パキパキというタイヤが枯れ木を踏む音だけが、やけに車内に響いていた。

そしてふと前方に視線をやったSが思わず「あっ」と声をあげた。

そこは凡そ50メートルほど前方辺り。

暗闇の中、「空室」の二文字がボンヤリ青白く光っている。

彼は慎重にハンドルを操作し、そのコテージの真横に車を停車した。

Sがエンジンを切ると途端に、N美が「わたしはこんなとこ、入らないからね」と険しい顔で呟く。

「じゃあ、ここにいろよ」
そう冷たく言い放つとSは運転席のドアを開き、さっさと外に出た。

慌ててN美も「ちょっと待ってよ」と言いながらドアを開き外に出る。

月明かりを頼りに彼は歩くと、その平屋建物入口前に立つ。

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コメント(3)
  • ねこじろうさんの作品は本当に引き込まれるし、いつも楽しみにしてます。

    2023/08/23/16:54
  • ありがとうございます。
    創作の励みになります!

    2023/08/23/19:07
  • 彼女は、とりつかれてしまったのか((( ;゚Д゚)))

    2024/02/27/21:52

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