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不思議体験

偽美さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

黒いかけら
短編 2022/07/21 18:40 804view

僕が大学2年生、19歳の時のことです。

夏休み中のある夜、僕はふと目が覚めました。

時間は深夜1時を過ぎたあたりでした。

誰かがドアをノックしているのです。

コンコンという音が聞こえてきます。

最初は気のせいかとも思ったんですが、どうもそうではないような気がしました。

その音はどんどん大きくなってくるし、それに――なんだか生臭いにおいが漂ってきたからです。

なんだろうと思いながら、僕はベッドから出て部屋の電気をつけました。

そして、恐る恐る玄関まで行って扉を開けると…………そこには誰もいませんでした。

その代わり、扉の前に何かが落ちていました。それは、真っ黒なかけらのようなものでした。

一瞬それが何なのか分からなかったんですが、すぐに理解できました。

これは、人骨だ。人の頭蓋骨の一部だとなぜか悟ったんです。

「うわっ」と思ったものの、放っておくわけにもいきません。とりあえず拾い上げてみようと手を伸ばしかけたとき、また扉を叩く音がしてきました。

さっきよりも激しい叩き方でした。

まるでノックではなく、拳を叩きつけているかのような感じだったと思います。

それで僕は確信しました。

このあたりに、この世のものではない誰かがいるんだ!

僕は慌ててその場から離れ、部屋に戻りました。

それから鍵をかけ、カーテンも閉めて、朝になるまで震えながらじっとしていました。

翌朝になって恐る恐る外を見てみたら、そこには何もありませんでした。

昨夜のことは夢だったのではと思うくらいに、いつも通りの光景がありました。

ただひとつ違う点があったとすれば、玄関の前にあったはずの黒いかけらがなかったことでした。

あれだけの大きさのものが消えてなくなるはずがないと思ってよく見てみると、なぜかそれは廊下の端っこに落ちていたんです。

つまり、僕が見たときには既にそこに落ちていて、その後どこかに移動したということらしいのです。

それを見た瞬間、背筋が凍りつきました。あの物体は一体どこへ行ったのか?

まさか、まだあそこにあるんじゃないだろうか? そう考えると怖くてたまらなくなってしまいました。

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関連タグ: #夏#夢#深夜
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