のるな
投稿者:狐の嫁入り (6)
短編
2022/06/01
16:40
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俺は恐怖からか反射的に顔を背けた。
ビクビクしながら薄らと開けた目端をガラスに向ける。
居ない?
少女の姿がない。
なぜ?
もしかしてもう……。
5F。
やはり居ない。
やっぱりもう……。
助かった……全身に脱力を感じその場で蹲る。
だがその瞬間、俺はハッとして顔を上げた。
これまで脳裏に焼き付いた少女の顔が次々と頭の中に浮かぶ。大きく開いた口……。
4F。
あれは何かを言っているようにも見えた。
少女が口を開けていた最初の顔から順に思い返していく。
3F。
まっ。
て。
る。
よ。
「うわあああっ!!」
耐えきれず俺は泣き叫んでしまった。
だがその瞬間。
──チーン。
2Fでドアが開いた。
二十代くらいの男が驚いた様子でこちらを見ている。
俺は慌てて立ち上がり頭を下げ急いで男を横切り2Fの通路に飛び出した。
背後で扉が閉まる。
俺は荒い息遣いのまま壁にもたれ掛かり、そのまま蹲った。
余りの恐ろしさに次から次へと涙が溢れてくる。
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わざわざ嘘ついて怖い思いをさせた友人はひどいと思いました(こなみ)
久々に鳥肌立った…